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あすてっぷKOBE講演会「シングルファーザーになって分かったこと感じたこと」

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 10月8日(土)あすてっぷKOBE〈神戸市男女共同参画センター〉(中央区橘通)で講演会が開かれ、約100人が参加した。
[主催/神戸市男女共同参画センター(あすてっぷKOBE)]

 神戸市では毎年10月を「こうべ男女共同参画推進月間」と定め、男女共同参画について市民への理解と関心を深める取り組みの一環として講演会を実施。今年はフリーアナウンサ―の清水健さんを講師に迎え「シングルファーザーになって分かったこと感じたこと」と題した講演が行われた。

 清水さんは元読売テレビアナウンサーで夕方の報道番組を担当し「シミケン」の愛称で親しまれている。2013年に結婚。翌年、妻の妊娠が判明した直後に乳がんと診断された。妊娠の継続か治療に専念するのか「命の選択」を迫られ「親子3人で生きる」と決断。2014年に男児を出産した妻は1週間後の検査で全身への転移が見られ、余命1ヵ月の宣告を受ける。
そして出産後わずか112日後、29歳の若さで息を引き取った。清水さんは「妻には最期まで詳しい病状を隠し『大丈夫』と嘘をつき続けた。どんな治療も辛い顔を見せずにずっと笑顔だったが本当はいっぱい泣きたかったのかも。すべて話した方がよかったのかも」と何が正解かは今も分からないし後悔だらけだと打ち明ける。「一歩前に進めないことも多かったが毎日はやってくる。妻の笑顔の写真が今の僕たちを救ってくれている。息子の成長だけがすべてだった」と当時を振り返りながら息子との数々のエピソードを優しい笑みを浮かべながら語った。

シングルファーザーとなり清水さんは1人ぼっちだと思ったことが何度もあったというが、実はそうではなく周りには協力してくれる多くの人がいてくれたと話す。全部自分でできると思ったが勝手にバリアを張っていただけで1人ではできないことばかり。急激な生活変化に対応できずにいた自身の経験から「ぜひ周りに頼ってください」と呼び掛けた。また、男性の育児や家事の関わり方にも触れた。

清水さんは「生きたくても生きられない人がいる。辛い時間かもしれないが今という時間を一緒に頑張ろう!笑っていこう!ありがとうと伝えよう!」と力を込める。妻の病気が分かってから「ありがとう」と言うと、もう終わりだから?と悟られるのが怖かったと話し、最期意識がなくなってからようやく言えた。「もっと言っておけばよかった」と痛感し後悔した。今を頑張っている人が近くにいたら一番の理解者でいてあげてほしい。そして「ご自身を思いっきり愛して大切にしてほしい。それは検診に行くことでもいい。大切な人の笑顔のために」と締めくくった。

田中素子さん(須磨区神の谷)、越智美香子さん(須磨区中落合)母娘は「大事な人を失って辛い思いをされているのに一生懸命伝えてくれた。日々の生活を当たり前と思わず感謝を伝えていきたい」と話した。

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