編集記事

垂水区

読み聞かせ大集合!

記事 読み聞かせ大集合!のアイキャッチ画像

10月16日(日)、ブランチ神戸学園都市(垂水区小束山)1階森の広場などで、絵本の「読み聞かせ大集合!」が開催された。読み聞かせを楽しむ絵本ラリーや、さわって楽しむ絵本の体験やその魅力についての講演会などが開かれ、多くの親子連れが絵本の世界を楽しんだ。(主催/まちづくりスポット神戸・後援/神戸市立中央図書館)

このイベントはまちづくりスポット神戸の津野亜由未さんが、地域の人々が本を通してつながることや、もっと本を楽しんでほしいと、ブランチ神戸学園都市予約図書受取コーナー開設3周年を記念して開催した。学校や地域で絵本の読み聞かせをしている10の団体が、巨大絵本や、芝の上で歌と融合したお話、英語を交えた楽しい読み聞かせなど、それぞれに工夫を凝らしたお話会を開いた。読み聞かせを聞いてスタンプを集めるラリーも行われ、3つ以上集めるとオリジナルしおりづくりに参加出来た。

コミュニティルームでは、目が見える人も見えない人も楽しめる「さわる絵本」が話題になっていることを受け、てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さんを迎えて、さわる絵本の体験と岩田さんによる講演会を行った。午前の部では指でさわってゴールをたどる「さわるめいろ」の絵本を体験。
参加した親子は目をつぶったり、アイマスクをしたりしながら、段々難しくなる迷路に挑戦した。酒井陽奈夏さん(舞多聞小2年)は「ブツブツした手触りが気持ちよかった」と笑顔。保護者からは「自分の位置や左右がわからなくなって難しかった。手先のいい練習になりました」という感想もあった。岩田さんは「さわるめいろは集中力、記憶力など感覚が研ぎ澄まされ、誰もが楽しめる絵本です。シリーズ3まであるので、ぜひ楽しんでください」と呼びかけた。

午後の部の「さわって楽しむ絵本の魅力」と題した講演会では多くの大人たちが参加。点字付き絵本や、点訳絵本に触れながら岩田さんの話に耳を傾けた。生まれつき全盲である岩田さんは「自分の子どもに絵本を読み聞かせたい」と本気で考え、点訳ボランティアの力を借りて1981年に1冊目の点訳絵本を完成させた。同じ境遇の人たちにも楽しんでもらいたいと1984年から貸出しを始める。しかし、問題は郵送料。無料にならないと活動できないと働きかけ続け、1987年ついに国会審議で無料化が実現した。
2002年には「目の見えない人と見える人がいっしょに絵本を楽しめるようになること」を目指して、出版社や印刷会社、書店、点訳ボランティアなどが集まり「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を発足、これまで27冊の点字つき絵本を出版。再来年で活動40年を迎えるふれあい文庫では現在、約130人のボランティアが点訳絵本の制作と貸出しを行っており、点訳絵本の制作数は年間250冊、トータルで1万3千冊にのぼる。岩田さんは「最終目標は点字つき絵本が当たり前に出版されるようになり、ふれあい文庫の役割が終わることです」と締めくくった。

同コミュニティルームで毎月第2火曜日に子ども食堂を運営している河口真澄さんは「ガイドヘルパーの仕事をしていたこともあり、岩田さんのお話は興味深かったです。食堂に通う子どもたちのためにさわる絵本を購入します」と話していた。
主催の津野さんは「地域の子どもたちがたくさん集い、絵本を通して多様な人たちがつながることができました。さわる絵本を知ってもらうきっかけとなり、見える見えない関係なく、ともに楽しめる世界が広がることを望んでいます」と笑顔をみせた。

てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さん
てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さん

カテゴリー