須磨ユニバーサルビーチプロジェクト
7月7日(木)、3年ぶりに海開きした須磨海水浴場。
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトがヤシの木前に、障がい者利便施設(ユニバーサルなシャワー・トイレを完備した施設)を設置。海水浴期間の土日には、車いす・ベビーカーなどが利用できるビーチマットの設置を行い、障がいのある人も水陸両用車いす「ヒッポキャンプ」に乗って家族や仲間とともに海水浴を楽しんだ。
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト(以下SUBP)は、代表の木戸俊介さん(36歳)たちが「大きな世界は小さなチャレンジからはじまる」をビジョンに掲げ、2016年須磨海岸で発足。「みんなの『できない』を『できた!』に変える」を合言葉に、障がいを持っている人や高齢者、小さな子どもたちでも、誰もが楽しめるユニバーサルなビーチの普及活動を行っている。令和3年度には中学社会公民の教科書に「持続可能な未来を目指す人々」と題し、SDGs達成に向けた先進事例として掲載されている。
7月20日(水)には、2組の家族が参加。1組目は31歳の時、交通事故で車イス生活となった明石市の会社役員・児玉梯之さん(41歳)とその家族。児玉さんは今年夏、フェイスブックでこの取り組みを知り、一人で体験。楽しかったことから、この日は3人の子どもと妻の家族5人で参加した。2組目は5年前、神戸新聞でSUBPの活動を知り、1年前よりSUBPのメンバーとして活躍する西宮市の内藤夕貴さん(32歳)。内藤さんは小学4年生のときポンペ病と診断され、徐々に歩行が困難となり、3~4年前から車イスの生活に。この日はパートナーと参加した。
砂浜には10m4枚と15m1枚の海まで続く水色のマットが敷かれ、二人はその上を車イスで移動。途中の休憩地でサポートスタッフの手を借り、ヒッポキャンプに乗り込んで、いざ海へ。パートナーや家族とともにしばし海水浴を楽しんだ。風呂以外に親子で一緒に水に入るのは初めてという児玉さんは「ありがたいです」と感謝。うれしそうに父親の周りを泳いでいた長女の莉桜さん(小学3年生)は「楽しかった」とはにかんだ。
SUBPは活動を開始して以来「神戸須磨から全国へ!」と出張ユニバーサルビーチを実施し、24都市府県30ビーチで開催、全国の半数を突破した。6月1日には海のバリアフリー化に向けた新たな取り組みとして日本財団「海と日本プロジェクト」と協同し、「日本全国ユニバーサルビーチプロジェクト」を開始。木戸さんは「全国に届けるためには特に行政の理解と協力が必要。行政、企業、団体、個人などが手を組み、誰もが楽しめるユニバーサルな世界を推進します!」と熱く語った。
https://sumauniversalbeach.com
ヒッポキャンプ
代表の木戸俊介さん