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市政リレー講座「公園とまちづくり」(コミスタこうべ)

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5月17日(火)「コミスタこうべ(神戸市生涯学習支援センター)」(中央区吾妻通)で、市政リレー講座が開催され約50人が参加した。

コミスタこうべではさまざまな現代的課題の中からテーマを取り上げ、市政をわかりやすく伝えるために市政リレー講座を開催している。4月からのテーマ「公園とまちづくり」の第2回、今回のテーマは「神戸の農漁業と里山暮らしのすすめ」。講師は、神戸市経済観光局農政計画課担当係長 藤原啓さん。

神戸市は立地条件が良いため野菜・果物・花・肉・米など多くの農産物を扱っている。水産物では海苔、また日本酒や神戸ワインといった加工品は農産物と並んで近畿で上位の生産量を誇る。
藤原さんは、神戸市の人口の推移について北区、西区の農村地域が減少傾向であり農家戸数も減少していることに言及。農地についても現在まで35年間で約10%減少していると話した。一方で都市住民の農村への定住願望はコロナ前と比べて関心は高まっている。神戸市は都市近郊に立地する農村の特性を活かし、豊かな自然と都心との距離が近い、神戸ならではの「里山暮らし」(農村への移住・定住)の実現を図り、農村地域の法規制の規制緩和に取り組んでいる。

開発許可基準(都市計画法)の緩和の一例としては、農村に住む世帯の一人っ子の住宅新築を可能にした(平成27年2月)。開発許可の規制緩和の実績は平成27年2月~令和3年12月で計52件。農地取得の基準(農地法)では新規就農するには仕事を辞めて1年間で1200時間以上の研修が必要であったが、「神戸ネクストファーマー制度」(令和3年8月)による農地取得の緩和により、働きながらでも半年~1年、週末などの短時間の研修が可能になった。そのため現在大人気のプログラムとなり受け入れ側が足りていないのが課題という。

また「農村定住促進コーディネーター」を配置した。移住を受け入れる農村地側と移住者との橋渡しとして主に移住相談・起業相談・農村地域の空家バンクの運営・農村体験イベント・地域とのマッチングなど、定住・起業後のフォローまで農村を熟知した地域団体が支援している。

神戸市はウェブサイト、空家バンク「神戸・里山暮らしのすすめ」を運営しているが「相続登記がされていない・家屋の痛みがひどく改修が必要・空家の貸出に関して所有者の理解が進まない」など多数の課題をかかえ、要望があっても空家バンクへ掲載できず、提供が追い付いていないのが現状だという。「これまでは空家提供者の連絡を待っている状況でしたが、今はこちらからもアプローチをしてより多く提供できるよう努めています」と藤原さん。移住者の受け入れについて里づくり協議会を対象にしたアンケートでは、農村地域の住民も地域が活性化するのであればと、98%が賛同している。地域の拠点施設の改修支援もあり、地域住民が主体となって定住相談会などのイベントが定期的に開催されている。

参加者の、60代男性(東灘区)は「自然に囲まれた里山暮らしをしたいと思っていたので制度や支援があることを知ることが出来て参考になった。ウェブサイトの紹介もあったので調べるのに役立つ」と話した。「自然が豊かで街も近く便利。農産物の直売所もあり本当においしく新鮮なものが手に入る。興味のある人は、ぜひ里山暮らしを検討してほしい」と藤原さんは語った。

市政リレー講座は毎月開催。7月から「くらしと環境」がテーマ。参加には事前申し込みが必要。
詳しくはホームページにて http://www.kobe-spokyo.jp/comista/

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