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須磨区

「自分らしく生きる~多様な個性が輝く地域共生社会実現に向けて~」 須磨パティオ健康館パティオホール(須磨区中落合)

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2月5日(土)須磨パティオ健康館パティオホール(須磨区中落合)で、日本LGBT協会代表理事の清水展人さんによる講演会「自分らしく生きる~多様な個性が輝く地域共生社会実現に向けて~」が催され、市内在勤・在住の約100人が参加した。 (主催/社会福祉法人 神戸市社会福祉協議会、たかとり障害者相談支援センター)

清水展人さん

須磨区で3人姉妹の長女として生まれた清水さん。幼少の頃から男物の服を好んで着用したり好きになるのは女性で、心と体の性に違和感があったと話す。まわりから差別的な言葉を浴びることもあり「相談したくても、自分の悩みは誰にも話してはいけないと思っていた」と振り返る。当時は性の多様性について正しい教育環境も整っておらず性教育は身体的な事のみで心に触れることはなかった。自分がおかしいと思い込んだ清水さんは女の子らしくするしか生きる道はないと決意して高校時代は髪を伸ばし化粧道具を購入、男性と交際もしたが心の性を変えることはできなかったという。その頃、性同一性障害を取り上げたテレビドラマ「3年B組金八先生」を見て、自分のことだと衝撃を受けた。今後どう生きるか不安も膨らんだが「知ることがスタートだった」と当時を振り返った。

18歳で両親にカミングアウト。病院で性同一性障害と診断された。最初は家族に受け入れてもらえず教師だった父からは性別を変えてどうやって生きていくのかと厳しく説かれ、母は誤診だと涙した。大学卒業後、ありのままの自分として働くことができない葛藤から、21歳の時、家族の理解も得て海外で手術を受け性別と氏名を変更した。戸籍上男性としての人生が始まったが現実社会は厳しく、性別変更者への職はないと拒絶されることもあったという。自問自答を繰り返し、心の立ち直りの支援がしたいと医療専門学校で学び作業療法士の資格を取得した。さまざまな逆境を乗り越えて結婚、そして2人の子どもにも恵まれた清水さんは「自分らしい生き方を選んだから出会えた幸せ。日々、感謝しながら生きている」と力強く話した。

LGBTとはL(レズビアン=女性同性愛者)・G(ゲイ=男性同性愛者)・B(バイセクシュアル=両性愛者)・T(トランスジェンダー=出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人)の頭文字を取った呼称。生まれ持った「体の性」に対して自身がどのような性別であるかを認識する「心の性(性自認)」、「恋愛対象(性的指向)」、「服装や髪型など外部的な表現(性表現)」などの要素があり、その組み合わせはさまざまだと説明する清水さん。性的マイノリティ(性的少数者)は約12・5人に1人が該当するとされている。「この数字はAB型や左利きの人と同じくらい。そう考えると身近な存在だが表面化しにくい課題」と話す。  また、性同一性障害で受診した人の約6割が自殺を考えたことがあるとの結果が出ており、さらには自傷・自殺未遂や不登校など生きづらさを感じる当事者や家族が存在する。清水さんは当時学校で受けた性に関する授業内容が異性間の家族の在り方のみだったため、自身の生き方は間違っているのかと悩んだ経験から学校現場で多様な性の在り方を取り上げて欲しいと熱望する。そのためには教職員が偏見などをなくし理解を深めることが必要だと提言。最後に「一人で悩ませない、カミングアウトや相談しやすい環境づくりが求められている。誰もが自分らしく生きられる社会を目指しています」と締めくくった。

「学校で直面している」と話す高校教職員の50代女性は「取り巻く問題は人によってさまざまなので体験談を聞いて学ぶことが多かったです。安心して相談できる環境を整える必要があると感じました」と感想を話した。神戸市社会福祉協議会の有森孝輔所長は「本人やご家族から相談を受けることも多く、まずは市民の方に知っていただく。そして多様性を認め、尊重し合う社会になればと願っています」と語った。

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