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垂水区

令和3年度KOBE„にさんがろく“PROJECT「ノーギョ・ギョギョ・ギョギョーラボラトリーズ」旧グッゲンハイム邸(垂水区塩屋町)の最終報告会

記事 令和3年度KOBE„にさんがろく“PROJECT「ノーギョ・ギョギョ・ギョギョーラボラトリーズ」旧グッゲンハイム邸(垂水区塩屋町)の最終報告会のアイキャッチ画像

1月23日(日)、旧グッゲンハイム邸(垂水区塩屋町)で令和3年度KOBE„にさんがろく“PROJECT「ノーギョ・ギョギョ・ギョギョーラボラトリーズ」の最終報告会が開催され、関係者が集った。コロナ感染の状況をふまえ、一般観覧は中止し、オンライン(YouTube)でのライブ配信となった。 (主催/KOBE„にさんがろく“PROJECT事務局・神戸市経済観光局農水産課)

神戸市では平成24年より、神戸産農水産物の魅力を多くの人に知ってもうらおうと、地元の農水産物を素材とし、若者のアイデアと企業やクリエイターのノウハウを活用した新たな「ものづくり」と、若者と企業と農漁業者の連携・交流を促進する新たなネットワークづくり」をすすめる「KOBE„にさんがろく“PROJECT」を実施している。

令和元年度からはグラフィックや建築などさまざまな分野で活躍するクリエイターと、学校の垣根を越えて集まった学生たちがチームを組み「ノーギョ・ギョギョ・ギョギョーラボラトリーズ」として活動している。同報告会ではクリエイター4人がそれぞれテーマを設定、近畿圏の学校(大学(院)、短期大学、専門学校あわせて14校)から学生25人が集まり、3カ月間チームとして取り組んだ活動内容や製作物を発表した。プロジェクトのプロデューサーである岩本順平さんが司会進行役を務め、4チームの学生がそれぞれ15分の持ち時間で発表、関わったクリエイターが補足し、質疑応答を行う形で進められた。

〈Aチーム〉

〈Aチーム〉

Aチームのテーマは「ローカル素材のCRAFT納豆が伝えられること」。学生たちはFARMARS MARKETを運営する小泉亜由美さん(FARMSTAND)とともに北区淡河町で納豆合宿を行い、地元の大豆や稲藁、野草を使い六甲山の木で作った経木で包むCRAFT納豆づくりを体験。都市住民が農地で学ぶ「マイクロファーマーズスクール」では大豆や落花生の収穫体験や竹林整備を行いローカルエコノミーを学ぶなど「ワクワクと驚きの発見」を伝えた。今後は納豆づくりワークショップの企画や、活動をまとめた新聞づくりを予定。「チーム5人のそれぞれが、手の届く範囲から理想の循環をつくっていきたい」と締めくくった。

〈Bチーム〉

〈Bチーム〉

 Bチームはグラフィックデザイナーの近藤聡さん(明後日デザイン制作所)とともに6人の学生が「神戸の魚を地元で知ってもらうために」をテーマに活動を開始。学生たちは駒ヶ林漁港のマーケットでブリなどを購入し生まれて初めて〝まるごとの魚〟を捌き魚パーティで舌鼓。実際に釣りを体験し、垂水漁港の土曜市にも出向いた。しらす漁師のインタビューで黒鯛による食害に困っていることを知ったメンバーは、冬場は特においしい「神戸の黒鯛」として魅力を発信し消費してもらおうと、黒鯛のブランディングを提案した。発表では「魚を知ったことで意識が変わった。もっと多くの人に伝え関心を持ってもらいたい。その積み重ねこそが神戸の漁業の底上げにつながると信じている」と今後の目標を語った。

〈Cチーム〉

Cチームは「空の畑を耕す」をテーマに、都市部の屋上を使って「農」を試みる建築家、髙橋渓さん(COL.architects)と活動。学生たちはフィールドワークを通じて、落ち葉や枯れ草、野菜くずなどの植物残渣を微生物の働きで分解・発酵させて作る堆肥「コンポスト」に興味をもったと発表した。髙橋さんは中央区のマンション清山荘や兵庫運河、塩屋などでも活動を展開しており「生産→消費→分解→生産…」という循環を起こすことを目指している。2月20日(日)、清山荘で「神戸でいちばん空に近い畑」と題したコンポスター(堆肥を作るための容器)づくりのイベントを予定。より多くの参加を呼びかけた。

〈Dチーム〉

 Dチームはグラフィックデザイナーの藤原幸司さん(4S DESIGN)と学生9人で「神戸の農業や漁業に関する活動を横断するメディアづくり」のために冊子制作を進めた。メンバーは10代、20代の若者たちに神戸の農漁業の魅力を届けることを目的にCSA(地域支援型農業)やスローフード、「食都神戸」などについて取材し、その活動をまとめた。ページのレイアウトや色合い、わかりやすさなど工夫した点を発表し「ぎょぎょっと神戸」と題した冊子のロゴデザイン4つを参加者に見せ、どれがいいか挙手をとった。今後は今回のABCD各チームの活動をB5サイズの冊子にまとめ、神戸市各所や教育機関に配布する予定。担当した学生は「取材や冊子づくりを通して神戸がもっと好きになった。驚きとワクワクを伝え、新たな選択肢のきっかけになれば」と笑顔で締めくくった。

プロジェクト関係者

最後に今回のプロジェクトに参加した学生全員から「札幌出身ですが、神戸をちゃんと知ることが出来てよかった」「見せ方、伝え方の大切さを教わり勉強になった」など多くの感想が述べられた。日頃関わることの少ない農漁業に接し「海の環境を自分のこととして考えられるようになった」「農業も漁業もある神戸はステキだと思った」と地元産業についてのコメントもあった。  司会の岩本さんは「これら完成されたものがSNSやホームページ上で発信できたらと思っていますので、引き続きご覧ください」と呼びかけた。

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