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須磨区

「子どもを育むスマハマプロジェクト」すまうら水産のり工場(須磨区須磨浦通)

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1月15日(土)、16日(日)の2日間、須磨海岸西側の漁港内にある、すまうら水産のり工場(須磨区須磨浦通)で「子どもを育むスマハマプロジェクト」が開催された。抽選で選ばれた市内在住の小学生を含む親子約80人が参加し、須磨海苔の養殖から乾海苔が出来上がるまでの一連の工程をビデオ鑑賞や工場見学で学び、須磨海苔の試食を楽しんだ。

主催/神戸市須磨区役所総務部まちづくり課  協力/すまうら水産有限責任事業組合

カキ殼を手に説明する若林良さん

須磨区では、子どもたちが須磨海岸の自然環境を学び、須磨のまちと須磨海岸への愛着を感じてもらうことを目的に、四季を通じた自然体験学習「子どもを育むスマハマプロジェクト」を開催している。今回はすまうら水産有限責任事業組合の協力を得て海苔の工場見学を実施した。参加者は須磨浦漁友会事務所内での座学と工場見学の2組に分かれ、交互に学習した。座学の講師は漁師歴22年の若林良さん(すまうら水産営業部長)。

兵庫県は全国で1・2を競う海苔の生産地。瀬戸内の豊富な栄養分と播磨灘の速い潮流がおいしい海苔を育てる。他の海苔と比べてタンパク質・アミノ酸・カルシウムなどが豊富で色が黒く、肉厚なのが特徴。冬場は魚が獲れないことから昭和36年より約50人の漁師が海苔の養殖に着手、30年前には年間3万枚だった生産量は、現在13人の漁師で3000万枚を誇っている。製造は12月から4月の寒い時期に限られるが、その中でも12月の一週間ほどしか収穫できない一番摘みで作られたわずか3%、90万枚の海苔を「須磨海苔」のブランド名で販売している。

海苔の摘み採り専用「潜り船」

中家諒紀さん

 海苔は海藻の一種で、陸上で見かけるシダ植物などと同じように「胞子」によって繁殖する。海水温が下がる9月下旬からこの胞子をカキ殻に付けて冷水器で冷やし海苔の胞子を育てる。育てた胞子は1.8m×20mの海苔網3500枚に種付けし、一旦マイナス25度で冷凍保存。10月下旬に網を海上に設置し海苔が1〜2㎝に育つと海苔網を上げ天日干し。再び冷凍保存し11月下旬に養殖棚に設置する。海苔が30㎝ほどに育つころ摘み採られる。若林さんは実際にカキ殻を取り出し一連の工程を説明した。「潜り船」と呼ばれる特別な漁船が海苔網の下をくぐって海苔を摘み採る様子や、工場で乾海苔に仕上がるまでの様子はビデオを見ながら解説した。

 工場見学では同水産直売所店長で漁師歴8年の中家諒紀さんが案内した。収穫された海苔は潜り船からポンプでタンクに運ばれる。参加者はタンク内でグルグルと回転する海苔の様子を観察。洗浄に始まり、塩分を抜き水で調整された海苔が「ノリす」に載せられ、乾燥後百枚束で自動的に仕上がっていく工程を見学した。1時間に3千枚、1日24時間体制で20万枚生産されている。

武村大樹さん

武村紗希さん

左、小林瑛太さん、大窪琴音さん

最後は若林さんよりおいしい海苔の炙り方を教わり試食会となった。参加者は一人ずつ一番摘みの須磨海苔を電気コンロで炙り、香りを楽しみながら特有の甘さと柔らかさを味わった。家族3人で参加した武村大樹さん(花谷小4年)は海苔とおにぎりに豪快にかぶりつき「ごはんと海苔だけで、とてもおいしい!食欲がとまらない!」と満足顔。妹の紗希さん(同小1年)は「のり大好き」とはにかみ、母親の沙織さんは「須磨海苔を全く知らなかったので勉強になりました」と笑顔で話した。

須磨区役所まちづくり課の大前有里子さんは「海苔がどのようにできているか実際に見てもらうことで、須磨の海苔に興味をもってもらい、神戸で作られるものを食べるきっかけになれば」と話した。

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