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第7回「親子で楽しむ和の文化」 喜楽学舎(神戸市西区春日台)

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12月5日(日)喜楽学舎(神戸市西区春日台)にて、伝統文化親子教室事業の一環として第7回「親子で楽しむ和の文化」(全7回)が、開催された。 主催/Kirac 喜楽

「伝統文化親子教室事業(文化庁)」では、次代を担う子どもたちへ民俗芸能・工芸技術など日本の伝統文化を体験・修得できる機会を提供しており、毎年全国で教室が開かれている。昨年10月に始まったこの講座では〝世界中から注目を浴びる和の文化。和の心で礼儀作法を学びましょう〟との呼びかけで、浴衣を自分で着ることから始まり、和の礼儀作法、着物の立振舞いや風呂敷の作法を学ぶなど全7回開催。最終回は7人の小学生が集まった。

受講生たちは、午前の部で百人一首の札を使ったゲームや絵に描かれた着物について学び、午後の「十二単鑑賞」に向けて浴衣を着て集まった。 講師は、和の心を次代のこどもたちに伝える〝和文化プロデューサー〟清水有子さん。「儀式中は正式な作法では無言で行います」という清水さんの言葉で会場は静粛な空気に包まれた。

十二単(じゅうにひとえ)は、平安時代後期に成立した公家女子の正装。失礼がない衣装という意味で公家に使える女官たちも身に着ける。晴れの装いとして宮中の儀式など着用する場も限られており、現在では皇室の即位や婚礼の場に用いられる。平成から令和への皇位継承に際して行われた大嘗祭(だいじょうさい)で目にした人も多いかもしれない。「十二単」といっても12枚の衣を着るわけではなく、たくさんの衣を着るという意味。白小袖と呼ばれる下着と袴を身に着け単(ひとえ)、色のついた五衣(いつつぎぬ)を重ねる。この時、2本の仮紐を交互に使い最後には紐を外す。次に、2匹の蝶が合わさった絵柄の表衣(おもてぎ)。蝶は、この世とあの世を結ぶ縁起の良いものなので、よく絵柄模様として使われる。次の唐衣(からぎぬ)は、成人女性しか身に着けない。ここまでで、てんてまえ(衣の衿を一枚ずつ交叉したもの)を、共合わせ(一旦左右の衿を、それぞれまとめて合わせる)にする。これは、用を足す際など、脱ぎ着をしやすくするため。最後は、後ろに垂れ下がる白い裳(も)をつける。着せてもらう人は南を向くという決まりがある。檜扇(ひおおぎ)を持つのは、高貴な身分の人が自分の顔を隠したり、その上に物を置いて人に渡すなどのため。

三谷澄枝さん

装束を特別な技術で着付ける「衣紋者(えもんじゃ)」は、和文化伝承協会の頼政惠美子さんと頼政治さん。モデルを務めたのは参加者三谷澄枝さん。三谷さんは「大人のかたで、着てみたい人」との呼びかけに立候補したとのこと。養蚕は歴代皇后が担っており上皇后陛下が育てている日本古来の「小石丸」という蚕から取れる絹は軽いが、現在主に使用される外来種のものだと重くなる。三谷さんは「肩にずっしりと重みを感じたけど、着られてよかった」と笑顔で話した。

三谷美晴さん

西馬さん家族

三谷さんが十二単を脱いだあとは「もぬけ」になった。そのあと娘の美晴さん(神戸大学付属小2年)をはじめ子どもたちがもぬけの中に入って袖を通すと、一枚ずつ着付けてもらったかのようにかわいい「お姫様」に変身した。西区神出町の西馬ねねさん(神出小5年)、りんさん(3年)、そらさん(1年)、にこさん(4才)、もかちゃん(2才)の5人姉妹は、ねねさんが学校で配布されたチラシを見て申し込みりんさんと参加した。和の文化が好きなので参加したそう。茶道も習っておりしっかりとした立振舞いが身についている。スタッフに「結婚式で十二単を着てみたいですか」と問われると、はにかんだ笑顔を見せた。

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