編集記事

須磨区

「食品ロス」の問題を考える 県立須磨友が丘高等学校(須磨区友が丘)

記事 「食品ロス」の問題を考える 県立須磨友が丘高等学校(須磨区友が丘)のアイキャッチ画像

県立須磨友が丘高等学校(須磨区友が丘)は多様な価値観を持つ人々と対話し、正解がないような問題に対して論理的に思考し行動する力をつけるために、“総合学科”の強みを活かした授業を行っている。

 

清水充則さん

同校では1年次に「産業社会と人間」というテーマで社会の中での自分を知る授業、2年次は課題研究で各生徒が一つテーマを決め、探求研究。3年次は、各テーマ別ゼミに分かれ教科・科目横断的なクロスカリキュラム学習を行う。

取り組みとしては大学教授を学校へ招いた講義や、神戸新聞の記者を迎え文章の読み方、書き方講演会を開くなど、その分野で活躍する人と積極的に交流する。最近ではエンターテイメントロボットの開発を行う神戸芸術工科大学の教授によるオンライン授業も行う。生徒たちはチームでレスキューロボットの完成を目指している。

3年次のゼミの一つは、消費者の立場ではなく生産者や流通の立場からみた「食品ロス」の問題を考える〝野菜の廃棄をなくし隊〟。神戸市環境局の担当者清水充則さんから、世界と日本の食品ロスの現状についてオンライン講義を受け、生徒は4つのグループに分かれ、各分野の担当者にインタビューを行った。

栗岡尋孝さん

「学校の食堂」のグループは同校食堂の食品事業に関わる栗岡尋孝さん(株式会社プライス社長)や調理師を取材。班では食品ロス削減のために、もっと食堂に足を運んでもらおうと魅力的なメニュー開発を検討した。将来は管理栄養士になりたいと話す加納碧咲さんは、食品ロス削減のアイデアを考えた。  「スーパーマーケット」に取材に行ったグループは、天候を考えた仕入れ調整など、すでに食品ロスを出さないような取り組みを行っていることを知り、さらに取り組める工夫がないかを話し合った。「普段は親任せで、スーパーに行くこともないが、自分の知らないところで食品ロスについて考えられていることが分かった」と山本舜己さん。

林毅さん

「農家」のグループでは、西区岩岡町で農業を営む林毅さんの話を聞いた。「畑へ廃棄する作物は食品ロスになるのか」という話題をはじめ農家が直面する経営上の問題を学び、今の時期に収穫できる青梗菜(チンゲンサイ)やスナップエンドウの食品ロス削減の方法を農家の意見を聞きながら考えた。

「パン屋」のグループは学校近くのベーカリー、ルルパの店長が来校し講義があった。あらかじめ売れる量を予想し売り切れるように製造を調節したりSNSを利用し購買を呼びかけていることが取材でわかった。班では廃棄を減らすための野菜を利用したパンメニューについて話が弾んだ。

中央、家庭科担当 中村真理子教諭

右から2人目、社会科担当 岩本和也教諭

総合学科推進部の岩本和也教諭はグループを周り「この授業を通してさまざまな人と関わることができる。社会にある問題に触れ、探求することができる」と、生徒たちにアドバイスをした。ゼミを受けた石間蒼空さんは「この授業を受けて、計画を上手に立てられるようになった。いろんな人から話を聞くことができ為になる」と話す。迫田希琉さんは「中学校でSDGsを勉強し、いろんな問題に興味があった。研究家も解決できないことを、みんなで話し合えるのがいい」と総合学科授業の魅力を語った。

カテゴリー