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「第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会」神戸弘陵学園高等学校(北区山田町)女子硬式野球部2度目の優勝

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「第25回全国高等学校女子硬式野球選手権大会」の決勝が8月23日(月)阪神甲子園球場(西宮市)で初開催され、神戸弘陵学園高等学校(北区山田町)女子硬式野球部が5年ぶり2度目の優勝に輝いた。


25回目を迎える今大会は過去最多の40校が参加。7月24日に開幕し、1回戦から準決勝までは例年と同じ丹波市で行われた。トーナメントを勝ち上がり、決勝に進んだ神戸弘陵高校と高知中央高校(高知県)の2校が高校野球の聖地・甲子園で初めて行われる歴史的一戦に挑んだ。

 

女性球審による「プレーボール!」の声で午後5時に開始。試合前にはベンチ入りできなかった部員も含め、フェンス越しに全員で大きな円陣を組んでから臨んだ。7イニング制で行われる試合は神戸弘陵高校が2回にスクイズを決めて先制。さらにスクイズで加点した後、2アウト2・3塁で信貴(しぎ)友郁さん(3年)が2点タイムリーヒットを放ち、一挙に4点をリードした。投げては左腕の日髙結衣さん(2年)が6回までヒット4本、無失点と好投。最後の7回は、エースで右腕の島野愛友利(あゆり)さん(3年)が3人で抑え、投打がかみ合い4対0で勝利。マウンドには人差し指を空に向けた「一番ポーズ」をした選手たちの歓喜の輪ができた。主将の小林芽生(めい)さん(3年)は、右ひざのケガでプレーはできなかったが3塁ランナーコーチとしてチームを鼓舞。「この夏は甲子園で優勝することを目標に頑張ってきたのでうれしい。『楽しいね!』とみんなで話しながら試合をしていた」と憧れの舞台で野球ができる喜びに笑顔があふれた。

男女共学化とともに2014年に創部された女子硬式野球部の指導にあたる石原康司監督は、それまで同校男子硬式野球部のコーチ、監督に就き30年。コーチとして3度、監督として1994年、1999年の選抜大会に2度導き、22年ぶりに戻ってきた聖地だった。「女子高校野球選手も甲子園で」という長年の切なる願いに関係者など多くの人たちの協力を得て実現することが今年4月に発表された。「不思議な感覚で言葉にできないほどうれしかったが勝ち上がらないと行けない。チーム一丸となって目指した」と石原監督。強打を誇るチームだが決勝では「打線は水もの。何が起こるか分からない」、と小技から着実に得点した。1アウト1・3塁で3球目にスクイズのサイン。安藤蓮姫(はずき)さん(2年)も次の球でスクイズだと想定していた。まさに監督と選手の阿吽(あうん)の呼吸で確実に決めた先制点だった。5回に連打を浴び、ノーアウト1・3塁とされたが捕手の安藤さんが盗塁を阻止。「これが決め手となり流れが変わった」と無失点で切り抜け、勝利をたぐり寄せた。最終7回はエースで副主将の島野さんが登板。「フィールドから見る景色は格別だった。マウンドに上がり、最高の球を投げることができた。仲間や携わってくれたすべての人に感謝したい」と思いを語った。

同校の校歌が球場に流れ、校歌斉唱はないと聞いていた石原監督は「感無量でした」と感慨深く話した。また「女子野球の扉が開いたと思う。注目され競技人口が増えることによって底辺が拡大し、もっと盛り上がっていくと信じている」と女子野球界の発展に期待を寄せた。女子選手にとって、これまで目指すこともできなかった最高の舞台で日本一を成し遂げ、甲子園に新たな歴史を刻んだ日となった。

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