「視覚障害のガイドヘルプ&点字体験~見えない・見えにくいってどんなこと?~」 兵庫県立視覚特別支援学校(垂水区城が山)
8月4日(水)、兵庫県立視覚特別支援学校(垂水区城が山)で年に一度の「視覚障害のガイドヘルプ&点字体験~見えない・見えにくいってどんなこと?~」の研修が行われ、小学生からシニアまで幅広い年齢層の29人が参加した。
「視覚障害とは何か」について、同校の菊井澄人教諭が障害者の立場から解説。先天盲、後天盲の特性、矯正視力が0・02~をいう弱視(ロービジョン)の特性や、その対応などの詳細な説明があった。視覚障害者は音で状況を判断するため、救急車のサイレン音や強い風の音で自分の居場所や方向を見失うことがある。菊井教諭は、手助けする際には「あっち」や「そっち」ではなく、「右・左」など本人のわかりやすい言葉で声掛けしてほしいと投げかけた。
同じく視覚障害者で同校の今井裕二教諭は、自宅から同校まで1時間かけて電車通勤している。人が近づいてくるとあえて白杖を強く叩き自分の存在を知らせていることや、触読式時計と音声時計を駆使して時間管理をしていることなど日々の工夫を話した。点字ブロックがある道は安心して歩ける一方、そこに自転車やバイクが置いてあると危険。そのような状況を見かけたら最低30㎝以上は点字ブロックから離してもらえると助かると伝えた。今井教諭は小学6年生で網膜色素変性症と診断され、時間をかけて視力を失った。22歳で同校に入学。自転車やマラソンが好きで、28歳の時には2人乗りのタンデム自転車で全国を旅した。伴走者と走るマラソンのグッズ紹介もあった。また、視覚障害者が白杖を上にあげるのは助けを求めるサイン。困っている様子があれば横か斜め前に立って「何かお手伝いしましょうか?」や、専門用語である「手引きしましょうか?」の声掛けがあれば安心してお任せできると笑顔をみせた。
屋外では桝岡良啓教諭や指導チームが見守る中、参加者は視覚障害疑似体験と手引きによる歩行介助(ガイドヘルプ)を行った。2人1組になり、1人がアイマスクを付け、もう1人は手引き者に。溝のまたぎ方、狭い所での通過、ドアの開閉や通り抜けなどの訓練を交互に行った。昼食の時間も研修と位置付け、参加者はアイマスクを付けたまま持参したお弁当を開き食べ物を口に運んだ。「目隠しすると味がわからない」「何が口に入るかわからないので不安だった」などの声があった 福田圭子教諭による点字研修では、点字の成り立ちから始まり1マスで表記する50音のルールや、濁音の表記方法の説明があった。参加者は実際に点字器を使って50音や自分の名前を書いた。
祖母と参加した児玉奏音さん(福田小4年)は「見えない経験や視覚障害についてじっくり考えることができてよかった。点字も楽しく、またやってみたい」と目を輝かせた。同校支援部長の北浦裕記教諭は「見えない、見えにくいという1つのイメージだけでなく、視覚障害者に出来ることはたくさんある。それも理解してもらえれば」と話した。