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大好き!美術を語る会〜教えてあなたの推し絵画〜

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4月24日(土)兵庫県立神戸生活創造センター(長田区二葉町)で「大好き!美術を語る会〜教えてあなたの推し絵画〜」が開催された。 昨年に続き2月に開催を予定をしていたが、緊急事態宣言発令で延期になっていた。参加者はおのおの自分の好きな絵画の資料(絵葉書、ポスター、画集、図録など)を持参し、作品や画家、好きな美術館や行ってみたい美術館について順番に語った。

灘区の60代男性は、高校1年生の時に描いたダリの模写したスケッチブックを持参。「ダリはエピソードに欠かない人物ですが、人格はともかく彼の描く絵は面白くて魅了されました」と話す。1点ずつ作品について解説がびっしり書き込まれており、参加者から「とても好きだったのが伝わります。高校時代のスケッチブックが残ってるなんて、大事にされてたんですね」と声が上がった。

「好きな絵の前では20分でも見ることが出来るのですが、苦手な作風の絵の前は素通りしてしまいます」と自身も絵筆を持つ男性(灘区・80代)は、行ってみたい美術館に和歌山県立美術館を挙げた。好きな佐伯祐三の作品が14点所蔵されている。佐伯祐三は大正〜昭和初期の洋画家で、パリで夭逝。短い活動期間の中、パリの街かどや風景画の作品を数多く残している。また、以前訪れたロシアのエルミタージュ美術館の思い出も語った。日本の美術館と違って係員もポツンと一人いるぐらいで、フラッシュ撮影は禁止だが写真撮影もオーケーでとてもおおらかで自由に鑑賞出来たという。

山や旅行が好きな長田区の女性は山の作品、セザンヌの「サント=ヴィクトワール山」を紹介。以前南仏の知人を訪ねた時、セザンヌの絵に描かれた山が、そのまま目の前にあり「絵の通り」の景色に驚いた。セザンヌをはじめ、印象派の画家達は浮世絵の影響を受けたのはよく知られている。絵の中央にそびえる木を配置した構図は葛飾北斎「富嶽三十六景」の「甲州三嶌越」の大木を配置した構図の影響がみられる。「すみだ北斎美術館も訪ねてみたい美術館の一つです」と話した。

「美しいものを見たい!」と心の趣くままに美術展に足を運ぶという明石市の女性。学生時代、初めて一人で出かけた美術館で上村松園の作品に出会った。生活感のある作風、髪を梳く櫛の目が細かく、添えている手が透けて見えるくらい繊細に描かれていたのが何年経っても印象に残っていると話す。「好きな美術館はいくつかありますが、パリのオランジュリー美術館のモネの『水連』はそこでしか見ることが出来ないので、またいつか訪れたいです。実物を目にすると、普段目にしている絵と色合いが違ったりするなど、発見がありますね」。インクの問題などで原画と印刷物では色合いが異なる場合もあるという。

西区の50代女性は 「『好きな絵』について、作品はもちろんですが、その絵を見たときの思い出やその時一緒に見た人のことなどが思い出されます。コロナで思うように遠出も出きませんが、落ち着いたら美術館へ目当ての絵に会いに行きたいです。今日は初めての参加ですが、みなさんの『推し』の作品のお話をたくさん聞かせてもらい、どこへも出かけていないけれど、たくさんの作品を見に行ってきたような楽しい時間でした」と話した。
参加者たちは今から次回の開催を心待ちにしている様子だった。

次回開催/7月10日(土)〈6月10日(木)受付開始〉
申込先/兵庫県立神戸生活創造センター TEL(647)9200

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