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須磨区

自然環境サミット2021 須磨区役所(須磨区大黒町)

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2月14日(日)、「自然環境サミット2021」が須磨区役所(須磨区大黒町)401会議室で開催された。今年はコロナ禍のため一般観覧は中止し、初めてオンライン(YouTube)配信による実施となった。 (主催/須磨FRSネット 協力/須磨区役所)

須磨区内で自然環境の保全・愛護活動を行う14団体から構成される須磨FRSネットは、「須磨の自然を次世代に!」を理念に、須磨の自然環境への関心や、地域への愛着を深めてもらおうと「自然環境サミット」を毎年開催している。12回目となる今年は高田知紀さん(兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授)の講演会と、須磨FRSネットの「神戸海さくら」、「須磨離宮チョウの会」からの活動報告や参加団体の紹介ビデオが流された。

高田知紀さん

伊與田安正さん

觜本格さん

まず、代表幹事の伊與田安正さんが「本日のサミットが須磨に限らず、神戸、兵庫の自然環境に意義のあるものになることを願っています」とあいさつ。副代表の觜本格さんが司会進行役を務めた。高田さんは市民が主体となった環境再生やまちづくりの活動を「プロジェクト」として適切にマネジメントするための理論構築を、研究テーマのひとつにしている。この日は「森・川・まち・海をつなぐ市民プロジェクト」と題し、数多くの市民主体の活動事例の中から「宮崎海岸浸食対策事業」「新潟県佐渡島・加茂湖再生事業」「高塚山キャンプ(西区・垂水区)」「福田川(垂水区)」の4事例を紹介し、市民プロジェクトを実現するための大切なポイントを示した。

宮崎海岸の事例では、市民による徹底した「談義」によってアカウミガメの産卵地でありサーフィン、釣りのメッカである海岸を守り、かつての広い砂浜を取り戻そうと市民・行政・専門家が三者一体となって事業を推進している。トキ野生復帰の取り組み地域にある新潟県佐渡島では、漁業者の提案をきっかけに加茂湖と天王川の一体的な再生方法を研究する市民組織「佐渡島加茂湖水系再生研究所(通称カモケン)を設立。一番環境が悪化していた「こごめのいり」という入り江を企業の助成金を獲得し、市民の手で工事を行い葦(ヨシ)の生える入り江に再生した。

神戸市の高塚山事例としては、きつねなどの貴重な動植物が生息する高塚山において、「高塚山を愛する会」「小束山子ども会」「神戸YMCA」「神戸高専EC3」が連携し、一昨年にデイキャンプ、昨年は1泊のキャンプを実施し、地域のコミュニティ形成にも役立ったことを伝えた。福田川では「福田川クリーンクラブ」が主体となって、散歩しながら歴史や地理を見つめ直す「福田川さんぽ」を実施。コンクリートに囲まれた今の福田川を、人や自然の生きものにやさしい川にしたい!との思いから「福田川再生プロジェクト」をスタート。また地域の人々がこれからのあるべき姿を議論する「福田川流域ネットワーク会議」などで再生ビジョンを描き、活発な意見交換や自然保全活動が行われている。高田さんは「先走り計画の作成など日頃から市民で議論しておくことで、今後行政が計画を見直す際や大規模災害後の復旧復興に迅速に対応できる」と話した。

視聴者からのチャットには「子どもたちと遊べる福田川にしたい」という言葉や「取り巻く環境・夢、そして現実のために地域主体の活動は必要ですね」という書き込みがあった。

森口智聡さん

続いて、神戸海さくら理事長・森口智聡さんが須磨海岸のクリーンアップ活動を紹介。森口さんは2013年9月に「若い力で須磨海岸を変えたい!」とFacebookで呼びかけ、集まった小中の同級生10人で活動をスタート。「楽しくなければ続かない」を基本理念にゴミ拾いのイメージを変え、海岸のクリーンアップ事業を続けている。「流れついたゴミがひとたび海に戻ると何百万年と海の中をさまようことになる。水際で防ぐため、8年目の今年もビーチクリーンに特化して活動を続けていきます」と熱く語った。

谷本祥二さん

神戸市立須磨離宮公園「チョウの会」代表谷本祥二さんは、公園の中にバタフライガーデンをつくりチョウの魅力を伝えている。現在神戸には82種類のチョウが生息しており、同公園周辺には過去20年の調査で69種類のチョウが確認されている。特に珍しい種類を除いた50種類をバタフライガーデンに呼び込もうと2015年にバタフライガーデンの整備を開始、2017年にオープンした。会ではチョウの観察会や、昨年初めてフォトコンテストも実施した。最後に「チョウの魅力とミステリー」として、台湾から東北まで旅するアサギマダラが10月には園内のキク科の花フジバカマにやってくることと、その飛行調査を説明した。谷本さんは「風の弱い晴れた日はたくさんのチョウに出会えますので、ぜひお越しください」と呼びかけた。

総括として觜本格さんは、「日本のさまざまな地域での環境改善や保全活動を学ぶことができました。YouTubeでの配信という新しい挑戦でしたが、皆さんいかがでしたか?」と視聴者に向けて問いかけた。

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