編集記事

須磨区

ダイアン吉日さん 英語落語と講演

記事 ダイアン吉日さん 英語落語と講演のアイキャッチ画像

1月24日(日)市立北須磨文化センター(須磨区中落合)で、ダイアン吉日(きちじつ)さんの英語落語と「笑いで世界をひとつに」と題された講演が催され、約80人が参加した。

ビートルズの「イエローサブマリン」の出囃子(でばやし)にあわせて、華やかな着物を着こなし颯爽と登場したダイアンさん。ビートルズと同じイギリスのリバプール出身で幼少の頃から外国に興味があったという。バックパッカーで世界中を旅している時に、友人の勧めで初めて日本を訪れたのが1990年。3カ月ぐらいの滞在のつもりが日本の伝統文化に魅了され、陶芸・茶道・生け花・着付けを習った。茶道と華道は師範の資格を持ち、着物は450着、帯は200本所要するほどの着物好き。「着付け教室の生徒は全員日本人!イギリス人に習ってる!なんでやねん!」とつっこむ。表情豊かにテンポよい関西弁で話すダイアンさんに参加者たちは終始笑いっぱなし。

落語に出会ったのは当時人気絶頂の落語家、故桂枝雀さんの舞台でお茶子を務めたのがきっかけだった。「着物が着られると聞いて即決した」とダイアンさん。「熱々のうどんを食べる落語を見た時、うどんの匂いがしてきてお腹がすいたほど。扇子がお箸に見えた」と強い衝撃を受けた。400年以上の歴史を持つ落語は1人で声や表情、身振り手振りで登場人物を演じ分ける。使う道具は手ぬぐいと扇子の2つだけ。「扇子が箸やハサミにも見える。想像力の世界だから何でもできる」と落語の世界に一気に引き込まれた。桂枝雀さんは伝統の落語を英語でやるという英語落語の先駆者だった。

この日の英語落語の演目は 「ワンダフル・ジャパン」。イギリスから初めて大阪にやってきた男が驚きの連続で…という日本のカルチャーが盛り込まれた内容。「英語が分からなくても、周りが笑ったら一緒に笑えばOK!」と前置きするが、中学生レベルの英語をゆっくり発音し、ときに日本語を織り交ぜていたので英語が苦手な人でも充分伝わっていたようで、会場は大きな笑い声が何度も響いていた。日本に来て驚いたのは「 すぐに歳を聞いてくること。イギリス人は絶対に聞かないよ」と笑う。ほかには「駅前で配られる無料のティッシュペーパーや電車の中で寝てしまう人が降りる駅に着いたら突然起きる。不思議やね」と自身が体験した驚きがすべて落語のネタになるという。

ダイアンさんは東日本大震災当時の報道でストレスが溜まった子どもたちの顔を見た時、笑うことの大事さを痛感。バルーンアーティストでもあるダイアンさんは東北に向かい、避難所や施設を巡りバルーンショーや落語を披露した。 「笑ってくれてうれしかった 」と振り返る。その後インドで 「ラフターヨガ(笑いヨガ)」を学び「しんどい時こそ笑うとエネルギーになる。笑いで元気が出る」と諸外国で英語落語を披露し笑いを届けている。

最後に全員でラフターヨガを実践。ダイアンさんにつられて自然に笑顔になる参加者たち。「笑いには力がある。作り笑いでもいいから無理をしてでも1日連続で10分笑って !」と呼び掛け、笑いのウェーブを作り会場が笑い声の渦に包まれた中、終了した。上杉雅野さん、純子さん夫妻(須磨区西落合)は「すごく楽しいお話でした。毎日笑わないとね」と笑顔で会場を後にした。

※出囃子とは…落語家が高座に上がる際にかかる音楽。
※お茶子とは…落語の舞台でのアシスタント。

カテゴリー