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「やさしさわすれないで」ふたば学舎3階講堂(長田区二葉町)

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阪神・淡路大震災から26年となる1月17日(日)、ふたば学舎3階講堂(長田区二葉町)で恒例の1・17イベント「やさしさわすれないで」が開催され、参加した市民たちはつながりの大切さを再確認し、防災意識を高める機会となった。(主催/ふたば学舎)

左から、本間英一さん、藤間千尋さん

ふたば学舎では阪神・淡路大震災が起こった1月17日(または近い日)に「やさしさわすれないで」の1・17イベントを、2011年から毎年開催している。今回は今年3月11日に東日本大震災から10年を迎えるにあたり「1・17+3・11」イベントとして開催。午前の部は「被災地の想い合い」をテーマに、東日本大震災で一番の被災地域と呼ばれた宮城県石巻市とオンラインで中継・音楽を通した防災活動への取り組み・震災の記憶の伝承、が行われた。午後の部は東日本大震災で家族を失った高校生が希望を取り戻すまでを描いた震災映画「風の電話」が上映された。

宮城県石巻市との交流は、2013年にふたば学舎のメンバーが訪れたことから始まった。今回は石巻市で東日本大震災の伝承活動を行っている「公益社団法人3・11みらいサポート」の本間英一理事と藤間千尋さんにオンラインで話を聞いた。

現在本間さんが町内会長を務める石巻市門脇町は、東日本大震災では地震と津波で壊滅的な被害を受けた。講演では、被災で失われた地に新しいコミュニティを作り出すまでのプロセスを記録したドキュメンタリー映画「まだ見ぬまちへ~石巻・小さなコミュニティの物語(監督/青池憲司)」の撮影時の様子を語った。「400世帯ある門脇町のインフラ整備は終わったが、まだ人が戻ってこない。心の復興はまだです」と本間さん。「神戸の事例を参考にしてより良いまちづくりをおこなっていきたい」と話した。同監督の記録映画には、阪神・淡路大震災で被災した長田区野田北部の生活再建とコミュニティの再生を記録した「野田北部・鷹取の人びと」もある。藤間さんは石巻市の現状を伝え、今年3月8日にオープン予定の伝承交流館「MEET門脇」と「3・11メモリアルネットワーク」の紹介を行い「3月21日にオンラインでシンポジウムを行います。ぜひご参加ください」と呼びかけた。

石田裕之さん

続いて、神戸を中心に音楽を通した防災活動を行うシンガーソングライター&防災士の石田裕之さんが登場。石田さんは中学2年の時に北区で震災を経験し、生徒会でのボランティア活動がきっかけで音楽活動を開始。会場では自分なりに生きていくことをテーマに作った曲「とほで」を生演奏した。また、東日本大震災の被災地にはこれまで50回以上通っておりその活動内容を紹介した。石巻の「忘れないでね」というメッセージや、地元の人たちの一言一言をつなげてともに作った応援歌「やっぺす♡石巻」を、地元の人たちが登場する映像に合わせて披露。そして活動の原点となった阪神・淡路大震災の大切な思いを語り継ぐために作った「KOBEアイノウタ」を歌い上げた。その後、交流を続けている石巻復興支援ネットワーク「やっぺす」代表の兼子佳恵さんや地元の人たちとオンラインで結び、神戸と石巻で絆を深めた。

中野雄仁さん

山住勝利さん

二度の震災を経験したという中野雄仁さんは「震災から10年と26年の記憶」と題して、実体験を語った。二葉小学校2年生で阪神・淡路大震災、東日本大震災では仙台空港近くで被災した。中野さんは「2つの震災ではたくさんの人に助けられた。ボランティア活動を通して恩返しをしていきたい」と話し、日頃の備えの大切さや衛生的な水の確保の重要性を訴えた。

初めて参加したという西宮市の看護士・広野久美子さん(51)は「オンラインで繋がり、現地の生の声を聞けるいい機会だった」と話し「毎年近所の小学校では石田さんの『防災コンサート』で子どもたちが防災を学んでいる」と話した。感染対策商材などの事業を営む山田知宏さんは、震災当時長田に住んでおり自宅が全壊、クラスメートも亡くしたという。「リアルにもっと具体的に話したらいいと思った。特に子どもたちに伝えないといけないと感じている」と話した。

ふたば学舎の山住勝利さんは「地震や水害など、毎年災害が当たり前になっているが、被災の記憶を繋げ語り継ぐことで減災を身につけることができる。これからも震災学習イベントを開催していきますのでご参加ください」と呼びかけた。

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