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公開講座『タンザニア初の女子陸上大会~女性が活躍できる社会の実現を目指して~』清風公民館(中央区楠町)

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公開講座『タンザニア初の女子陸上大会~女性が活躍できる社会の実現を目指して~』が12月3日(木)に清風公民館(中央区楠町)で開催され、天候にも恵まれ約80人の参加者で会場は満員となった。

伊藤美和さん

講師は3年前に独立行政法人 国際協力機構(JICA)タンザニア事務所に赴任し、タンザニア初の女子陸上大会を企画した伊藤美和さん。小学生のころ、テレビでアフリカの飢えた子どもの姿を見て、何か自分にできることはないかと思ったことが現在の仕事に就くきっかけとなったという。「スポーツを広めていくことは、平和の促進への1つのツール」と話す伊藤さん。講演ではこれまでにJICAが行ってきたスポーツを通しての国際支援活動について話した。

タンザニアの中心地はビルも建ち一見都会だが、停電も日常茶飯事でまだまだ発展途上にある国。スワヒリ語を母国語とし、農業が主な産業で、130もの部族が暮らしているが目立った争いはない。途上国の体育の授業は体の仕組みを学ぶ座学がほとんどで、実技が少ない。スポーツは男性がするもの、女性がスポーツをすると子どもが産めなくなるという間違った考え方もまだ根強く残る。

伊藤さんが、弱い立場に置かれ厳しい状況に置かれているタンザニアの女性たちを支援するためにできることはないかと試行錯誤している時に出会ったのが、黒ヒョウと呼ばれたマラソンランナー、ジュマ・イカンガーさん。1983年福岡国際マラソンで瀬古利彦選手と競り合い日本でも人気となった。彼が2017年JICAタンザニア事務所広報大使を務めたことをきっかけに伊藤さんとともに「スポーツを通して何かをしよう」と企画したのがタンザニア女子陸上競技大会『レディーズファースト(Ladies First)』。2017年度より3回開催し、100m、200mなど8~11種目を開催した。

大会は女子陸上選手に公式大会への出場機会を与える目的とし、ジェンダー平等、女性の能力を開花させるエンパワメントを呼びかけた。また女性への暴力や若年妊娠が問題とされる中、サイドイベントとして、10代での妊娠によるその後の生活への弊害をテーマにした劇を演じ啓発した。この大会の活躍によりスポンサーを獲得しコーチによるトレーニングが可能になり、将来有望な選手を発掘するきっかけとなったという。  近所から参加した前田浄子さん(中央区)は「タンザニアという場所に興味があった。そこでどんな活動をしたのかも知りたかったので参加しました」と話した。伊藤さんは、まだ不利な立場にあるタンザニアで、女性であることをポジティブに捉え女性が活躍する社会の実現のきっかけになればと締めくくった。

※東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催国となった日本政府が推進してきた「スポーツ・フォー・トゥモロー」。これは2014年から2020年までの7年間で開発途上国を中心に100カ国・1000万人以上を対象にスポーツ国際貢献をしようという事業で、この目標はすでに達成済みだという。

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