垂水のいいね!学校編 愛徳学園中学校・高等学校 オンライン授業などの取り組み
2020年11月25日号掲載
愛徳学園中学校・高等学校 オンライン授業などの取り組み
NIE授業風景(中学1年)
新型コロナウィルス感染拡大予防のため今年前半は全国の小中高校、大学のほとんどが休校を余儀なくされた。これまでは教室で学ぶ対面授業が当たり前だった学校教育に「オンライン」「リモート」というワードが登場。学校に集えない生徒たちがこれまでと変わらない学びを続けるために、学校や先生たちはどう動いたか。愛徳学園中学校・高等学校の米田俊彦先生に話を聞いた。
少人数制のきめ細やかな女子教育で知られる愛徳学園は、中高6年間を通じて10年後、20年後の社会で必要とされる7つの力「体力・忍耐力」「思考力」「コミュニケーション力」「英語力」「問題発見・解決力」「異文化理解力」「プレゼンテーション力」を生徒一人ひとりが身につけるための独自のライフキャリア教育プログラム「Rainbow Program(レインボープログラム)」を掲げている。これまでの授業に加え生徒同士が教え学び合う協働学習を取り入れ、タブレット端末などICT(情報通信技術)機器も積極的に活用。毎年春休みには受験に向け高校2年生(新3年生)の講習を行っているが、新型コロナウィルスの影響で休校へ。対面授業が困難になった。そんな時に役立ったのがこれまで日常的に使っていた授業支援アプリ『ロイロノート・スクール』だ。
「事前に撮影した動画を『ロイロノート』の資料箱に入れ、生徒が随時見られるようにする。その動画を見ながら自主的に学習を進めたり、文章や図、音声を載せたスライドを共有しながらわからないところや質問があれば解説をする。オンライン授業というとZoomやYouTubeが一般的だが、『ロイロノート』を使った授業では一方通行にならず、生徒からも『楽しく学ぶことができた』という声を聞けました」
オンライン授業の撮影
休校が長期化する中で、生徒が生活のリズムを崩さないように5月以降は授業と同様、朝礼・終礼の時間帯や授業の時間割を設定。「決まった時間に担当の先生の声でいつも通り授業が行われ学校に登校できなくても、仲間が同じ時に同じ画面を見て授業に参加していることが感じられ、自宅に居ながら学校と同じように過ごせていたように思います。また、ご家庭の協力もあり、スムーズにオンライン授業を行うことができました」
読書好きな生徒が多く、4月にはオンラインによるビブリオバトルも開催。先日11月3日に甲南大学で開催された兵庫県高等学校ビブリオバトルでは、高校2年生の臼杵さんが準優勝に輝いた。また、同学園は今年NIE(Newspaper In Education=新聞を教材として活用する)実践指定校に選出。米田先生の担当する国語表現のオンライン授業では、生徒が興味のある新聞記事をノートに貼り記事の考察や自分の意見を記入する新聞スクラップを作ったり、先生が作った新聞スクラップを範囲にした漢字テストを実施。新聞を読む楽しさを実感した生徒も多いという。
「興味のある記事について『なぜそうなるのか?』という問いを立てて考え、深掘りしていく。その視点があると大学入試の小論文に生かせる。今までの授業の良いところを生かしながら、生徒が自分で考えICTを活用して共有し学びを深め合う授業へ。これからも一人ひとりの学びに合わせたサポートをしながら、対面とオンライン両方の良いところを活かした取り組みを挑戦していきたい」
選択授業で行ったカンボジアとのオンラインワークショップ(高校2年、2020年2月)
文部科学省のGIGAスクール構想のもと、神戸市でも今年度中に全小中学校で生徒1人1台コンピュータが整備される。未来を作る子どもたちの学びを応援していきたい。
《国語表現の授業で生徒が作成した学校案内のチラシ》