編集記事

西区

神戸ワイナリーを楽しむ

記事 神戸ワイナリーを楽しむのアイキャッチ画像

10月31日(土)、神戸ワイナリー(農業公園)(西区押部谷町)で西神ニュータウン研究会主催、2020年秋の見学会「神戸ワイナリーを楽しむ」が開催された。同会会員と一般14人が参加し、市内の農漁業の現状や神戸ワインの魅力についての話を聞いた。

西神ニュータウン研究会(会員約50人)は平成15年2月、学園都市大学共同施設(ユニティ)を拠点に生まれた団体。ニュータウンと西区7地域の歴史、文化、社会、経済、住宅、環境などすべての分野について、月に一度ユニティの会議室で講師による研究発表や意見交換会を開催。ニュータウン内や周辺の見学会を年1回行なっている。

207回目となるこの日の例会は秋の見学会として、同ワイナリーに初めて訪れた。まずワイナリー内の会議室で、神戸市経済観光局農水産課の丹羽雄亮さんから神戸市の農漁業について話を聞いた。丹羽さんは神戸の農漁業者数や生産額などを説明。ワイン用ぶどうの栽培が始まった経緯として、東播用水事業により兵庫県南東部の農業用水が安定的に確保されたこと。農地開発事業により果樹用農地が誕生し、神戸は気候・土壌条件がぶどう栽培に最適で、神戸ビーフとともに楽しめるワインならば需要が見込め、価格が安定するのではというアイデアからだったと説明。

続いて、神戸ワイナリーでぶどう栽培と醸造に携わる安居俊和さんより、神戸ワインについて約1時間レクチャーがあった。1983年の最初の仕込み以来、自社畑と平野地区・大沢地区の3カ所で栽培する「神戸産ぶどう100%」で造り続けていることや、ぶどうの栽培方法や品種・生育、醸造などについて詳しく説明。神戸ワインは2019年G20大阪サミット首脳夕食会に提供されるなど、高く評価されている。しかし当初の評判は芳しくなかった。美味しくなった理由として、ぶどうの木が樹齢40年を越え、凝縮感や力強さがアップしたこと、大仕込から小仕込へ移行し、タンクごとに酵母を変えバランスをみながらブレンドするなど醸造技術が向上したことを挙げた。神戸ワインの目指すスタイルは「人の手が織りなす和のワイン。柔らかさとしなやかな強さを持つ、神戸テロワール」とアピール。「今年の新酒の出来はどうですか?」の質問に、安居さんは「8月は雨がまったく降らなかったのでぶどうにとって最高の状態。5~6年に一度の良い出来です」と笑顔で答えた。

その後、ぶどう畑へ移動し、ワイナリーの安東香織さんから、病気を予防するために風通しや水はけをよくしていることや、ワイン造りにはぶどうの皮と種が非常に大事という説明があった。醸造所入り口では設置パネルを見ながら、赤ワインにのみ行う「かもし醗酵」やロゼワインの造り方の説明を受け、出来たばかりの「新酒みのり」の赤と白のワインを試飲し、見学会は終了となった。

初参加の西区樫野台在住、仲田雅也さん(60歳)は「神戸の農業の話は発見があり驚きでした。ワイン造りの流れなどさまざまな話を聞くことができてよかった」と笑顔。同研究会世話人の笹原和喜男さんは「来ることはあっても話を聞くチャンスはなかったので、一通り勉強させてもらえてよかった」と話し、同研究会の橋本彰さんが「西神ニュータウンができて40年、ビンテージタウンを目指す我々と神戸ワインはまさに同じ、熟成しておいしくなる!」と話すと、参加者から笑みがこぼれた。

カテゴリー