編集記事

須磨区

須磨東高校3年市原好望さんの書道作品が兵庫県教育委員会教育長室に展示

記事 須磨東高校3年市原好望さんの書道作品が兵庫県教育委員会教育長室に展示のアイキャッチ画像

県立須磨東高等学校(須磨区東落合)書道部3年の市原好望(このみ)さんの書道作品が兵庫県教育委員会(中央区下山手通)の教育長室に展示され、8月17日(月)に兵庫県庁で感謝状の贈呈式が行われた。

例年7月に開催される県高校選抜書道展の最優秀作品を教育長室に展示していたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、選抜展は中止。そこで昨年11月開催の県高校総合文化祭で、全国総合文化祭へ出品できる総文推薦賞を受賞した上位10人の中から市原さんの作品が選ばれた。「頑張ったことが認められて嬉しかった。これからの励みにしたいです」と喜びを語った。
作品は「臨石臺孝経(せきだいこうきょう)」。唐の玄宗皇帝が新たに撰述した「孝経」の注釈書を、自身の隷書(れいしょ)で石に刻したもの。作品のサイズは縦135㎝×横90㎝で紺紙金泥(こんしきんでい)。市原さんは「1年の時、県総合文化祭で石臺孝経の作品を観て圧巻された。書いてみたいと思った」と当時を振り返る。隷書の魅力について、一文字ごとに隙がなく全体のまとまりがあって格好いいと話すが、柔らかさと力強さが合わさるので表現が難しく、波磔(はたく)が作品の要なので繰り返し練習に励んだという。

制作期間は約20日間。毎回、金色の顔彩を水で溶かして濃さを調整する。「乾くと色が変わるので同じ濃さに調整するのが難しかった」と話すが、何度も練習を重ねたことで試し書きをせずに筆に付けた感覚で同じ濃さかどうか分かるまでになった。書道部顧問の古山優子先生は「何事にも真面目に取り組み、努力を惜しまない。制作している時の集中力が素晴らしい」と目を細める。

市原さんは兄の影響で3歳から書道教室に通い始めた。中学3年の時、同校のオープンスクールで書道パフォーマンスを見て書道部に入部したいと進学を決めた。部活動の中で一番印象に残っているのが2年の時、「書道パフォーマンス甲子園」に出場できたこと。「憧れていた舞台に立つことができ、演技ができて幸せだった」と声を弾ませた。自身の性格をおとなしくて人前で話すのが苦手だと話すが、パフォーマンス部長に推薦され部員たちの先頭に立ちリーダーシップを発揮。古山先生は 「優しくも的確な指示を出せるので部員からも信頼されていた」と評価する。

将来の夢は幼稚園教諭。5歳から抱いていた夢を叶えるために現在は勉学に励む。また書道も続け、師範の資格を取得し書道教室を開きたいという夢も併せ持つ。市原さんにとって「書」とは自信を持って得意といえるもの。書くのが楽しくて心が落ち着くと話す。書をこよなく愛する市原さんは次なる目標に向かって持ち前の向上心で歩み続けている。

※孝経…中国の経書のひとつ。
※隷書…漢字の書体のひとつ。
※紺紙金泥…紺色の紙に金泥で経文などを書いたもの。
※波磔…隷書の横画の終筆部分に見られる三角状の払い。

カテゴリー