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神戸山手女子高校から、選抜高等学校野球大会歌「今ありて」のDVDを贈呈

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(写真は、後列左から、植本拓哉さん、井上隼斗さん、中森俊介さん、来田涼斗さん 前列左から、杉野朱音さん、野瀬田未琉さん、村上唯さん)

毎春、選抜高等学校野球大会の開会式で大会歌の合唱を担当してきた神戸山手女子高校(中央区諏訪山町)が今年も絶えることなく伝統の歌声を届けたいと、大会歌「今ありて」を全中高生徒378人で合唱し、「美しき絆」と題したDVDを制作。出場予定だった32校に寄贈した。

神戸山手女子高校は第6代理事長であった勝本鼎一氏の尽力により、昭和30年から選抜高校野球の開会式で大会歌の合唱を担当、65年間の長きにわたり歌い継いできた。今年も大会に向けて練習を重ねてきたが、新型コロナウイルスの影響で3月19日開幕予定の第92回大会が中止になり、伝統の歌声を届けることができなくなった。今年創立96年になる同校では親子3代にわたって聖地に立つこともあり、生徒のみならず、卒業生、学校関係者の落胆は大きかった。

コロナ禍で休校になっていた同校は6月1日に再開。10日には、日本高校野球連盟が「2020年甲子園高校野球交流試合」を決定。大会出場予定の32校を8月(10日から17日までの6日間)に阪神甲子園球場に招き、交流戦を行うと発表した。センバツに代わる交流試合の開催が決まると、生徒たちから「開会式で聞いてもらえたはずの大会歌を交流試合に出場する球児たちに届けたい」との声が寄せられた。音楽科科長の雁木悟さんはコロナ禍の今年ならではの大会歌を残そうとDVD作りを企画。今年は野球場ではなく同校での収録となった。  同校は兵庫県で音楽科を併設する唯一の私立校で、高校のカリキュラムには普通科・音楽科とも週1時間の「全校コーラス」の時間がある。前後左右に間隔を空けるなど日本合唱連盟の指針に沿った感染症対策を取りながら高校の合唱練習はその時間をあて、中学校は音楽の授業で練習を進めた。

収録の様子

収録は7月29日(水)、30日(木)の2日間。曲は淡路島出身の阿久悠さん作詞、歌手の谷村新司さん作曲「今ありて」。今春3月に甲子園で歌うはずだった現高2・3年生に新1年生と中学生も加わり、全校生徒378人が参加した。生徒たちは15人前後、22グループに別れ、窓を開け放った講堂や教室、廊下などで、録音されたピアノ伴奏にあわせて美しいハーモニーを響かせた。撮影や編集はプロのミュージックビデオを手掛ける映像制作会社が担当、全校生徒の歌と映像を重ね合わせた特別な1本に仕上げた。

左、来田涼斗さん

県外校へはメッセージカードを添えて郵送

色紙とDVD

色紙の準備や発送作業

完成したDVDは高校駅伝のように伝統のたすきを絶やすことなく受け継いでほしいとの思いで「美しき絆」と題し、同校のホームページや動画投稿サイトの「ユーチューブ」で公開している。兵庫県代表の選手たちへDVDを直接届けたいと、9月16日、同高校生徒会長の杉野朱音さん(高2)と副会長の野瀬田未琉さん(高2)、同中学生徒会長の村上唯さん(中3)が明石商業高校(明石市魚住町)を訪れ、野球部の来田涼斗前主将ほか3人にDVDと「輝け兵庫の星」と書いた色紙を手渡した。プロ入団希望の来田前主将は「春夏の甲子園が中止になり悔しい思いをしましたが、歌を聴いてモチベーションを上げ、前向きに人生を進んでいきたい」と感謝を伝え、神戸山手女子校へ第92回大会の記念タオルとクリアファイルを贈った。

杉野さんは「中学生の頃から、遠くから聞こえてくる先輩たちの歌声に、高校生になったら甲子園に立てるのだと楽しみにしてきました」と話す。DVDに対して野瀬田さんは「教室や階段での撮影は新鮮でした。我が校を映像で感じ取ってほしい」と話し「私たちの想いががどうか届きますように」と声を揃えた。県外の31校へは生徒からの手描きメッセージを添えて郵送された。

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