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芸工大廣中薫准教授が伊川谷駅前壁画を制作

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神戸芸術工科大学(西区学園西町)デザイン学部の准教授で、画家・イラストレーターとして活躍する廣中薫さんが、神戸市営地下鉄伊川谷駅前(西区前開南町)の高架下広場にエネルギー溢れたポップな壁画を制作した。

この壁画は神戸の街に子どもから大人まで楽しめるアートを増やし、街中でアートと気軽に触れる機会を作りたいという「神戸ミューラル・アート・プロジェクト」( 主催/神戸市未来都市推進課)の一環として制作。ミューラルアートとは壁画の意味。

廣中さんは神奈川県鎌倉市出身。鎌倉と神戸北野にある2つのアトリエを拠点に制作している。ジャンルを問わず、有名アーティストのレコードジャケットカバーや、子ども向けテレビ番組の撮影セット制作、CM監修まで活躍は多岐にわたる。また、壁画制作にも多く携わり、元町高架下や地元の鎌倉海浜公園プール50周年壁画、35mの巨大壁画などを手掛ける。2015、16年には3カ月ほどロサンゼルスで壁画研修にも参加した。

伊川谷駅北出口の高架下空間に通勤・通学の待ち時間や待ち合わせなどに利用してもらう休憩スペースを作るにあたり、高架の支柱に飾るアート作品を廣中さんが担当することになった。伊川谷の野菜農家と話す機会があった廣中さんは、ほうれん草農家の若者が誇らしげに野菜について熱く語っていたのが印象的で 「伊川谷=野菜」を連想。そして野菜をイメージした緑色の犬「VEGE太(ベジタ)」が誕生した。山は段々畑に見立て、VEGE太の口から放つカラフルな虹は光や太陽をイメージ。右下部分は生命が湧いている聖なるものを表現した。「伊川谷にはその名の通り、谷があると思っていたので架空の伊川谷を作り、VEGE太の足元に橋を描いた」と遊び心も。壁画のサイズは縦2m×横3m。スプレーペイントで描いた後、筆で足して3日間で描き上げたという。

「描き込みすぎると、うるさくなる。絵には鑑賞距離が大事で、駅を出た時にパッと目立つけど見飽きない絵にしたかった」と話す廣中さん。「VEGE太の目線・口・虹が左方向なのは駅から街へ誘導する役目。一方方向にならないように文字は右方向。VEGE太と花が会話をしている」と左右が絡み合う緻密な計算が施されている。「大学と同じ西区に位置するのに伊川谷のことはよく知らなかった。とても良い街で地域の人は地場産の野菜を感謝して食べている。野菜の勉強をしたいと思うきっかけになったし、今後は学生と一緒に街と関わりたい」と意気込む。 「気を発している絵なので見た人が元気になってもらえたらいいな」と廣中さんは笑顔で話した。

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