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須磨区

「認知症サポーター養成講座」須磨区役所4階多目的会議室

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7月31日(金)、須磨区役所4階多目的会議室で「認知症サポーター養成講座」が開催され、市民28人が参加した。 主催/神戸市社会福祉協議会

楠本美香さん

神戸市では認知症になっても安心して暮らせるやさしいまちづくりを目指し、平成17年度より認知症について正しく理解するための市民向け研修「認知症サポーター養成講座」を無料で開催。出前トークなど学校や企業にも出向き、これまで12万人が受講している。 この日の講師は社会福祉法人すみれ会・舞子すみれ園の管理者で認知症介護指導者の楠本美香さん。テーマは「〝認知症〟を知る~知っておきたい基礎知識」。初めに「きんさん・ぎんさん100歳」の写真を見せ「このコマーシャル、何年前かわかりますか?」と投げかけた。きんさんぎんさんとは1990年代の日本において国民的な人気を誇った双子姉妹のタレント。当時100歳を過ぎても元気であったことからマスメディアに注目された。「10年ほど前のように思いますが、実は30年も前なんです」と説明。以来日本人の平均寿命は延び続け今では100歳以上の人口が7万人以上、令和は「100歳時代」に突入した。2025年には高齢者3657万人中、MCI(軽度認知障害)を含めた認知症の人は1300万人時代になると言われている。

認知症は突然なるわけではなく、発症しても運動や食事、人と接することなどで努力すれば半分の人は元の状態に戻るとされる。楠本さんは「①認知症は脳の病気②接し方次第で安定する③地域のあり方が大事」という3つのキーワードをあげた。認知症は脳の血流が悪くなり生活するうえで支障が出ている状態のことで、年をとるとシミやシワ、白髪ができるように認知症も誰もがなる可能性があること。この状態を引き起こすもっとも多い病気が「アルツハイマー病」。女性に多く、数年から数十年かけて極めて緩やかに進行し、昔のことは覚えているがちょっと前のことをすぐに忘れてしまうなど記憶障害から始まる。必ず現れる「中核症状」としては、時間・場所・人物がわからない「見当識障害」や、新しいことが覚えられない「理解、判断力の障害」など。その一方で、怒りっぽくなり、暴言を吐いたり、徘徊するなどの症状は「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれ接し方次第で改善できる。症状にはその人なりの理由があるため〝説得ではなく納得〟してもらうよう心がけることが大切。

「接し方」では、心得として「驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない・否定しない」こと。「違うよ」ではなく「そうですか」とまずは受けとめる。要点は「見守る、余裕をもって対応する」など7ポイントあり、うなずきや相槌で相手の心に耳を傾け、共感すること。

認知症になっても今までと見える景色は全く変わらず、少しの手助けがあれば9割の方が〝自宅〟だったら自立して暮らすことができるという。認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう「向こう三軒両隣、おせっかいな関係が今こそ必要。認知症の人を温かく見守り、支えましょう」と楠本さん。今まで穏やかだった近所の人が突然怒りっぽくなったり、ゴミ出しのルールが守れなくなった人がいたら「もしかして?」と理解しようと努めて、声がけをするなど「地域のあり方」が大事だと締めくくった。

参加者で児童館勤務の岡優希さん(加古川市・25歳)は「『助けなくてはいけない』ではなく、自分に何か手助けできることはあるかなと考えられるようになった。早く知ることができてよかった」と笑顔をみせた。神戸市福祉局介護保険課認知症対策係長の中原啓詞さんは「それぞれの町の温かい見守りの目があってこそ、認知症の人が安心して地域で住み続けられます。認知症サポーター養成講座や地域のボランティア活動に積極的に参加いただき、行政と市民、事業所など、街全体で認知症の人を支える仕組みをつくっていきたい」と呼びかけた。

※認知症に関する総合電話相談口/

「こうべオレンジダイヤル」TEL078(262)1717

月~金(土日祝、年末年始除く)9時~17時

 

※認知症予防にいいこと

・人に会う ・運動をする→大きな歩幅と速歩

・コグニサイズ/運動をしながら頭を使う。足踏みをしながら数を数えるなど

・新しいことに挑戦する

・1日6~7時間の睡眠が最適→βアミロイドが眠っている間に排出される

・緑茶を1日3杯以上飲む

・認知症予防になる食べ物を食べる(青魚、緑黄色野菜、豆類、果物、カレー“うこん”、えごま油、亜麻仁油、コーヒー)

※認知症の人にやさしいまち「神戸モデル」

神戸市は平成30年4月、全国20の政令指定都市で初めて認知症に特化した「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を施行。昨年4月から、認知症になっても安心して暮らしていけるよう、「診断助成制度」と「事故救済制度」を組み合わせた“認知症「神戸モデル」”をスタートした。65歳以上の市民を対象に地域の医療機関(440箇所)で認知症の診断が無料で受けられ、認知症と診断された場合、事故や死亡の際に保険金が支払われる「賠償責任保険制度」と、全ての神戸市民を対象にした「見舞金(給付金)制度」に無料で加入できる。

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