ヘルプマーク普及活動
年齢、性別、障がいの有無、文化などの違いにかかわりなく、だれもが地域社会の一員として支え合うなかで安心して暮らし、一人ひとりが持てる力を発揮して元気に活動できるユニバーサル社会づくりの取り組み。このマークを見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかけるなど、思いやりのある行動を!
ヘルプマークは、外見からはわからないさまざまな障がいや困難がある人が身につけることで、周囲への配慮や援助を必要としていることを知らせるマーク。西区学園東町在住の中沢美都子さんは、線維筋痛症と闘いながらヘルプマークの普及活動に取り組んでいる。 線維筋痛症は、慢性的に全身に激しい痛みが起こる病気で、米国の人気歌手レディー ・ガガさんがこの病気を患っていると公表したことで広く知られるようになった。中沢さんの場合は気圧が下がると痛みが出ることが多く通常の生活が困難な状態になることもあるが、外見ではわかりづらいため周囲の理解が得られず「仮病・詐病ではないか」と言われるなど、体の痛みに加え精神的にもつらい生活を送っていた。インターネットでヘルプマークの存在を知ったのは4年前。当時は行政や医療機関にすらヘルプマークの存在が知られていなかったため、中沢さんは単独で活動を開始。兵庫県社会福祉協議会や県警本部、県庁などを回って周知活動への協力を求めたり、地域のイベントでビラを配布したりしてきた。昨年末、ラジオCMをきっかけに全国各地でヘルプマーク普及活動を行う「全国ヘルプマーク普及ネットワーク」の存在を知り、現在は同団体と連携しながら仕事の合間を縫って活動を行っている。
ヘルプマークには自治体が配布するシリコン製のタグのほか、手帳型ヘルプカード( 全国ヘルプマーク普及ネットワークHPからダウンロード可能)などがあり、緊急連絡先や支援内容など援助を受ける人にとって必要な情報を記載することができる。もともとは2012年に東京都で作成されたものだが、昨年7月JISマーク(日本工業規格)に登録され全国に広がりつつある。 援助や配慮を必要とする人の中には、障害者手帳を持たない人や難病認定されていない人、術後や治療中の人もいる。そのような人にとってはこのヘルプマークが唯一の頼りとなるが、一般への認知がなかなか進んでいないのが現状。障がいや困難を抱えていても外見からはわかりづらいため、電車の優先座席に座っているとヘルプマークを付けていても白い目で見られることもあるという。
ヘルプマークを持つすべての人が常に介助を必要としているわけではなく、必要な援助や配慮は人によってさまざま。例えば中沢さんの場合は「発作が起きたらこの薬を飲ませてください」などの指示を手帳型カードに記入し、薬と一緒に携帯している。「何かあったら助けてほしい」というヘルプマークの意味を理解したうえで、当人が困っているようなら「どうしましたか」「何かお手伝いできることはありますか」などまず声をかけてみることが大切。
「全国ヘルプマーク普及ネットワーク」の兵庫県メンバーとして活動する藤本あさみさん(小野市)は「事故や病気、障がいは誰の身にも起こる可能性がある。まずはヘルプマークの存在をたくさんの人に知ってもらいたい」と呼びかけた。 この3月から兵庫県障害福祉課でヘルプマークのタグの配布が始まり、4月以降は各所で啓発ポスターが掲示される予定。行政による普及啓発活動だけでなく、一般の人がヘルプマークの意味と対処法について正しい認識を持つことが求められている。