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西区

「神戸みらい学習室」

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「神戸みらい学習室」は2017年4月に神戸市職員有志が集まり「すべての子どもに等しく教育の機会を」をコンセプトに活動を開始。地域の大学生や社会人のボランティア講師とともに、塾に通うことができない中学生に無償の学習支援(日曜午後)と夢ゼミ(月1回)を提供。

現在、西区の学園都市校と東灘区の本山校を運営。学校の宿題から入試対策まで、それぞれの子どもの学習スタイルや学力などに応じて自習学習や個別指導などの幅広い支援を行なっている。

神戸みらい学習室代表 佐々木宏昌さん

ボランティア講師として立ち上げから携わってきた根井渉さん
(神戸市外国語大学英米学科4年)

授業の様子

同教室の代表佐々木宏昌さん(49)は、神戸市職員として福祉をはじめさまざまな分野の業務を担当してきた。その中で生活保護を受給する母子家庭の貧困が連鎖している現状を目の当たりにした佐々木さんは「既存の行政の枠組みだけでは解決できない社会的課題がある」と痛感したという。

2017年8月より大学共同利用施設であるUNITY(西区学園西町)の教室にて、中学3年生10人の受講生でスタートした同教室。当初、講師は神戸外大や西区のボランティアセンターを通じて大学生1人と教員OBの2人。その後、活動内容が新聞に掲載され、現役の教員や塾講師OBなど社会人が講師として集まり、神戸外大生、兵庫県立大生、神戸大生、灘高校生、元大学教授などレベルの高いボランティア講師が続々と受け皿となった。

授業は、講師1人に対して受講生2~3人の個別学習スタイル。授業の前後には講師同士の打ち合わせやその日の振り返りの時間を設け、受講生ごとの学習記録シートやカルテを共有している。中学3年生を対象に4・8・1月の外部模試へも参加し、学力測定結果による偏差値の「見える化」を図り、推薦入試対策として、論文指導や模擬面接を行うなど、充実した支援内容で受講生全員が高校進学を果たしている。

講師陣に対しても質の向上を図るため、東京の学習支援団体と連携し、事前研修を行うほか、受講生へは事前テストにより、どこからつまずいているかわかる仕組みを活用し、個々の学力をあげるシステムづくりに取り組む。

受講生はいろいろな事情で塾に行けない子どもやその友人が通う。その多くはこれまで学習する習慣があまりなく、学力が極めて低い子どもも多い。親以外の大人とのつながりが少ないと、勉強する意味や将来の仕事について考えることが難しくなる場合も多く、塾に行けないのは経済的な理由だけでなくそれ以前の「意欲の問題」もある。そこで始めたのが「夢ゼミ」。目標を持ちやる気が育つよう、高校・大学・大学院生や社会人のボランティア講師が、自身の高校や大学での生活、留学体験、就職活動、さらに勉強することの意義などを「夢ゼミ」と称して発表。受講生が自分の将来を考える機会を提供している。

授業後の講師同士の振り返り時間

また、さらなるステップアップとして、この4月から「発達に偏りのある子どもたちへの最適な支援プログラム」と「個々の学力をあげる取り組み」を同時にスタート。社会的に適切な学習支援が提供されていないと思われる発達に偏りのある子どもたちに対して、東京大学先端科学技術研究センターと連携し、それぞれの特性や可能性、能力を伸ばす個別支援プログラムをモデル的に構築していく。

佐々木さんの夢は「学習支援を通してすべての子どもたちが自身の可能性や能力を最大限に発揮し、子どもたちの希望が選択できる社会に近づけること。そのためにも次なる課題として「これまで以上に地元企業や個人からの継続的な支援が必要」と佐々木さんは話した。

受講生、ボランティア講師、運営スタッフ、寄付の申し込みはホームページより受付中。フェイスブックでは、毎週活動を紹介している。いずれも「神戸みらい学習室」で検索。

〈学園都市校〉
場所/UNITY401〒651・2103 兵庫県 神戸市西区学園西町1・1・1 ユニバープラザ 2F

時間/毎週日曜日、午後1時半~4時半 〈本山校〉

場所/コープは~とらんどハイム本山1階地域交流室〒658・0081神戸市東灘区田中町2・9・10

時間/毎週日曜日午後1時半~4時半 ※各問い合わせはホームページより。

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