「仕事と介護の両立」あすてっぷKOBE
2月15日(土)あすてっぷKOBE(神戸市男女共同参画センター)(中央区橘通)主催で「仕事と介護の両立」をテーマに講演会が開かれた。 講師/内橋康彦さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン関西、生駒市男女共同参画審議委員)
講師の内橋康彦さんはIT企業で働きながら長時間労働に疑問を感じたことから、ワークライフバランスについての活動を始め、NPO法人ファザーリング・ジャパン関西の会員として父親が子育てに関わる活動に取り組んでいる。同時に、介護離職を防ぐために自らを〝介護離職ストッパー〟として「介護と仕事が両立」出来るようなセミナー、副業支援、コンサルティングを行っている。
今回の講演会には、現在家族の介護を担っている人から近い将来介護に備え不安を感じている人、また一通り家族の介護を終え地域で介護の必要のある住民を支援する立場の人、介護職の人など、30代から70代と幅広い年代が参加した。
セミナーは講師との対話形式で進められ、参加者から「介護離職の何が問題なのか?」や、男性参加者からの「女性が介護を担わなければという考えはおかしい」と率直な意見が挙がった。このほか「職場では介護に限らず育児も含め仕事との両立の難しさは当事者でないと理解してもらいにくい」「人員や仕事内容によっては余裕がなく、休むことで職場に居づらくなる」「離職せず両立したいが、まわりに介護休暇を使っている人がいない」「親のために自分に代われる人がいないので仕事がしづらい」など不安を感じる意見が目立った。「万一配偶者が認知症を発症したら、今と同じように働いていけるのか」など先を案じる人もいた。
内橋さんは「休みが取りやすいような企業努力」の一つの取り組みを紹介。昨年12月、ある企業が40代、50代の正社員を対象に、介護理由につき通常時の6割の給与で週休4日制の導入を提案したところ社員の反応は、給与減額よりも有給休暇を使って対応するという答えが多かったという。介護ができても生活ができなければ使えない。
介護は特別なことではなく誰にでも起こり得ることで「生活の一部」とも言える。働き方も在宅ワークや副業を持つなど多様な方法がある。出来る限り働き続け、生計を立てつつ介護にどう対応するかを考えておくことが大切になる。介護を受ける側が住み慣れた場所で自分らしく暮らしていくには家族の支えが必要だが、家族だけで支えるのは無理も生じる。内橋さんは「自助も大事だが一人で頑張り過ぎず、介護保険の利用や地域の支援に委ねること。全てを一人が抱え込むのではなく、お願い出来ることは人に任せ離職をしなくて済むように」「そのためには周囲や地域との関係づくりや、できることは積極的に参加して貢献することも大切」と話した。
「仕事と介護の不安を感じているのは自分ひとりではない。他の参加者の話も聞けて良かった。考えの選択肢の1つになりました」と50代女性参加者は感想を述べた。
※自助/住民一人ひとりが豊かな生活をおくるために努力すること
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