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垂水区

垂水のいいね!学校編 神戸商業高等学校 理科研究部

2020年2月12日号掲載

神戸商業高等学校 理科研究部

現在、世界中で年間800万リットルものプラスチックが海に流出しており、2050年の海は魚よりもゴミのほうが多くなるのではないか――あってはならないそんな未来図が懸念されている。神戸商業高校理科研究部は海岸に漂着するゴミを回収、その中でも特に量が多いペットボトルの漂着ルートを調査するなど、以前より海洋ゴミ問題に取り組んできた。2018年『イオンエコワングランプリ』文部科学大臣賞に輝くなど、同部が行っている環境活動は注目を集めている。

所在地 垂水区星陵台4-3-1
URL http://www.kobechs.ed.jp

理科研究部が海洋ゴミの回収、研究をするようになったのは6年前。学生時代に生態学を専攻していた顧問の石川先生が同校に赴任し、休部状態だった理科研究部を再興した。現在部長を務める小田しおりさんがこの部を選んだ動機は、「コンテストなど大勢の前で発表する機会があると聞いて、これまでそういう経験がなかったのでプレゼンテーション力を磨いていけたらいいなと。部活動紹介で海のゴミ問題について聞きましたが、そんなに深刻だと思っていませんでした」。

西舞子海岸で地元の人と一緒に清掃活動

西舞子海岸清掃での収穫(漂着ゴミなど)

理科研究部は毎月、学校に近い西舞子海岸で漂着ゴミを回収している。豆腐のカップや食品トレーなど様々なゴミの中でも特に多いのがペットボトル。このペットボトルがどのようなルートで流れ着いたかの調査や、マイクロプラスチックと呼ばれる5ミリ以下の微小なプラスチックゴミが砂の中にどれだけ含まれているかの調査、研究発表が部活動の軸になっている。その活動が認められ高等学校、高校生によるエコ活動コンテスト『イオンエコワングランプリ』で2018年度文部科学大臣賞に輝いたのを筆頭に、昨年6月には環境問題に取り組む全国の団体や企業、個人が参加する『海ごみゼロアワード』で唯一、高校として環境大臣賞を受賞。他にコープこうべ主催の『プラスチックゴミと未来を考えるシンポジウム』に参加したり、タイで開催された第12回世界閉鎖性海域環境保全会議 青少年環境教育交流セッションで瀬戸内海の海洋ゴミについて発表を行うなど、幅広く積極的に啓発活動を行っている。

「語れば語るほど聞く人たちの心が動いてくれて、『頑張ってるね』と声をかけてもらったり他校やいろんな団体との交流が広がったり、やりがいを感じます」(1年生)

「自分たちにできることは、プラスチックゴミや海洋ゴミの現状を知ってもらうこと。それと共に自分たちもゴミを拾い、ゴミをなるべく出さないなど行動することも大事」(2年生)と頼もしい。

「毎月45リットルのゴミ袋数袋分のゴミが海岸にあって、『どうしてゴミがなくならないんだろう?』と思うようになりました。清掃などのボランティアに参加できなくても、海へ遊びに行った時にゴミを見つけたら1つだけ拾ってみてほしい。たった1つでも取り除いたら海を綺麗にしたことにつながります」と小田さんは言う。顧問の石川先生曰く、「入部した頃は海洋ゴミにほとんど興味がなかった部員たちが、活動するうちにゴミが気になるようになって今ではゴミを見つけたら思わず拾うと(笑)。誰もがそうなれたら良いですし、この部に何かやってほしいという声があればどこにでも出ていきたい。地元の方とも協力しながらこれからもいろんなことがやれたらと思います」

豊岡総合高校との合同環境合宿での漂着ゴミ回収

レジ袋の有料化や飲食店でのプラスチックストローの廃止など、プラスチックゴミ減量への動きは少しずつ始まっている。買い物の際には簡易包装を選ぶなど身近にゴミを減らすヒントがないか、彼らのように考え行動したい。

第38回近畿高等学校総合文化祭にて

 

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