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須磨区

震災25年展示「須磨の震災モニュメントをたどる」

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1月8日(水)~22日(水)須磨区役所1階ギャラリースペース(須磨区大黒町)で震災25年展示「須磨の震災モニュメントをたどる」のパネル展が開かれた。

阪神・淡路大震災から今年で25年の歳月が経つ。多くの尊い人命が失われ、家財が焼失・損壊し、生活の基盤が失われたことで市民が困難な時を経験した。市内各所に設けられた震災モニュメントは犠牲となった人々への哀悼を示すとともに災害の多発する我が国へ警鐘を鳴らすものでもある。市内在住のおよそ半数が「震災を知らない人」となり記憶の風化が急速に進んでいるといわれる中で、その傷跡と教訓を継承していくため須磨区に設けられた10の震災モニュメントの展示があった。

「正覚院の『神戸震災地蔵尊』(須磨寺町)」は震災後、被害が大きかった長田区などの住民から世話のできない地蔵の引き取り依頼が相次いだという。須磨寺の塔頭「正覚院」の境内には大小60体を超える地蔵が祀られている。

「みどりの塔『落下した地球儀』(一の谷町)」は、須磨浦公園東端に大きな女神像を中央に挟み、東西2カ所に石柱が立ち、その上に一対の石造りの地球儀(直径1・2メートル、重さ2・4トン)が設置されていたが地震の揺れで西側の1つが台座から塀の外側に落下。落下したそのままの状態で残されている地球儀の横にほぼ同じ大きさの半球を造り、落下の様子を点線と矢印で説明した写真と碑文が記されている。

ほかには、発災時刻の午前5時46分のまま止まっている「震災の記憶を伝える美容院の『時計』(飛松町)」、高速道路や主要道で使用されていた被災橋脚の一部を展示している「須磨海浜公園『被災した橋脚』(若宮町)」のパネルが並ぶ。

会場を訪れた60代の女性は、当時一の谷町で震災を経験。「余震が続き、半壊した家の中だと怖くて車中で生活してた。精神的に追い詰められ絶望感しかなかった。この思いが若い世代に引き継がれることを願っている」と涙ながらに語った。

阪神・淡路大震災は倒壊した家屋による圧死・窒息が多かったことから耐震性強化と家屋転倒防止に取り組んでもらおうと会場には自由に持ち帰れるパンフレットが用意されていた。須磨区役所まちづくり課の中務雅史さんは「震災の事実を忘れて欲しくない。今後いつ大規模災害が起きてもおかしくない状況なので、ハザードマップを活用したり避難場所の確認、生活用品の備蓄など普段からの防災対策を」と呼び掛けた。

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