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須磨区

啓明学院高等学校 ミャンマー八角平和計画

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啓明学院高等学校(須磨区横尾)の生徒たちが、ミャンマーの地域住民に経済力向上と平和をもたらすプロジェクト「ミャンマー八角平和計画(医師の林健太郎さんが始めたソーシャルビジネス)」に取り組んでいる。

同校では15年ほど前から毎年、希望者参加型で欧米諸国をメインとする海外での異文化交流プログラムを実施。国際交流担当の長久善樹教諭はアジア圏にも目を向け、中でも「開発途上国に行って実際に感じてもらい、その先に自分たちの出来ることがあるのか考えるきっかけになれば」と大きく生まれ変わろうとしているミャンマー行きを計画。治安面を考慮し、さまざまな協力体制の元、2017年度より「ミャンマースタディーツアー」が実施され、これまでに三度、約80人が参加した。

ミャンマーは長年にわたる軍事政権による支配から民政移管され、急激な経済発展を見せているが貧富の差も拡大、多くの人は職がなく貧困に苦しんでいる。同計画は内戦時代に麻薬の原料「ケシ」を栽培していた地域に「八角(はっかく)」の苗木を栽培して経済を安定させることを目的としている。八角は中華料理に使われる香辛料で、実から成分を抽出するとインフルエンザ治療薬「タミフル」の原材料になる。現地に雇用を生み出し、子どもたちに教育の機会を充実させようと活動している。

三度とも参加した香川知生くん(3年)は「社会的問題に向き合い、行動を起こすことで漠然としていたものが形となった」と得たものが大きかったと実感。古瀬和音さん(2年)は「事前に学んだことと現地でのギャップが大きくカルチャーショックだった。自分たちがどれだけ裕福かを知り学校生活を見直すきっかけになった」と話した。

ミャンマーでは実際に八角の苗を植樹。実がなるまでおおよそ8年かかると言われており、3年間で約200苗を植樹した。ツアーに参加した生徒たちが実行委員会を発足し、昨年11月の同校文化祭で展示を行い、八角の実を566セット販売。売り上げは同計画を推進する団体に寄付された。

古西みくさん (2年)は「観光地で子どもたちが物を売りに来たのを見て開発途上の現状や問題点が見えた。今は学び、知ることから始めたい」と力強く話した。谷川えれなさん(2年)は「働く子どもたちを目の当たりにして、何かしてあげたい気持ちが日本に帰ってからの方が大きくなった。海外ボランティア活動をしたい」と目を輝かせた。ほかには新都市ネピドーでは軍事力や貧富の格差を痛感。またワークショップで現地の学生とディスカッションを行うなど数多くの貴重な体験ができたという。

長久教諭は「仏像や寺院などの観光地は入場無料だがお布施箱が並び、それが建築支援となり雇用が生まれる。現地に根差したプログラムを組むことで感じることがあり、やりがいに繋がって社会が豊かになればいいですね」と語った。

 

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