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垂水区

垂水のいいね!学校編 県立舞子高校 環境防災科

2020年1月8日号掲載

県立舞子高校 環境防災科


「ひょうご安全の日のつどい」に参加し、防災訓練を体験

日本で初めての防災教育を専門に学ぶ環境防災科がある県立舞子高校。日頃同科で行っている取り組みや、生徒たちの防災に関する意識の高さ、また1月15日(水)に開催される「1.17震災メモリアル行事」についても併せて話を訊いた。
〈所在地〉 垂水区学が丘3-2
〈URL〉 http://www.hyogo-c.ed.jp/~maiko-hs/

環境防災科がスタートしたのは2002年。防災教育を学ぶ学科は国内に先例がなく、カリキュラムはすべて舞子高校の独自科目。「阪神・淡路大震災の教訓は、日常からの備えが大切だということ。また自分たちの命を守るためには知識だけでなく、地域社会の課題に対して主体的に関わる態度も必要。それらを、専門家だけでなく誰もが持たなければならない。そういう気持ちを育てていきたい」と話してくれたのは、同科で「社会環境と防災」科目を受け持つ桝田先生。


水道局より外部講師を招いた授業風景

台風や地震=災害という単純な図式ではなく、それらが起こった地域に住む人の備えや対応に不備があったり、命が助かっても適切な支援が欠けていたりという社会環境次第で、被害は大きくも小さくもなる。たとえば溝に落ち葉やごみが溜まると排水が妨げられ、降雨による氾濫被害が発生する可能性がある。そうならないためには地域で協力して取り組む必要がある。そういう身近なことにも防災のきっかけは見つかる。


小学校への出前授業で地域安全マップを作成

「3年生になると、阪神・淡路大震災を体験した人に話を聞いて文章にまとめる『語り継ぐ』を作成します(『語り継ぐ』は学校のホームページでも公開)。読んでみると生徒たちが環境防災科を選んだきっかけは、『消防士がカッコいい』『ボランティアに興味がある』などさまざま。ただ誰もが『何でもいいから人の役に立ちたい』という気持ちを持っている。中にはそれをうまく表現できない子もいますが、その気持ちを表せる環境、場を作るのは周りの大人の役目だと思います」。垂水区は坂道や入り組んだ路地も多く、住民の高齢化も進んでいる。そういった自分たちの住む街の状況、環境を知りどのように防災につなげるか。「生徒たちには、自分が学んだことが大事だと思ったら、それを伝える側になりなさいと話しています。たとえば小中学校への出前授業や地域の防災訓練への参加、他校との交流行事。これまでも、そういう場に出て行って交流し吸収することで生徒たちはこちらの想像をはるかに超える成長を遂げています」とのこと。

環境防災科は1クラスで、3年間同じ顔ぶれ。相性の善し悪しも含め、「関係は濃ゆいです」と先生は笑う。「お互い自己主張し、妥協しながら人の中で揉まれていく。それは社会に出たら誰もが経験するし、災害時はもっと人間の内面があらわになる中で何が正解かわからない状況でみんなで答えを見つけていかなきゃいけない。3年間苦しいこともありますが、後になればその時の苦労は無駄じゃなかったと思ってくれていると思う」。そう話す桝田先生の夢は、「いずれ卒業生がここへ帰ってきて教鞭をとり、語り継ぐ人になってくれることですね」。  今年20回目を迎える「1.17震災メモリアル行事」では、東日本大震災の復興ボランティアに舞子高校の生徒が参加した際に縁を結んだ石巻西高校の斎藤幸男元校長の講演会をはじめ、3年生による卒業研究発表や大阪ガス、関西電力などライフラインに関わる企業や自衛隊が参加する18の分科会が各教室で行われる。地域住民も参加できるこの機会に、防災について改めて考えたい。

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