横尾地区防災訓練
12月1日神戸市立横尾小学校(須磨区横尾)で横尾地区防災訓練があり、同校児童をはじめ保護者・PTA役員・防災コミュニティ役員・小学校教員・環境局・建設局・区役所・消防団・消防署などが合同で取り組む大規模な防災訓練となった。
横尾地区では、平成29年から横尾小学校の防災学習と横尾防災福祉コミュニティの総合訓練を合同で実施し、地域住民も一緒に地域一丸となり防災に取り組んでいる。市内でも同規模で実施している地域は少なく、須磨区ではこの地域のみ。3回目となる今年は、避難所でのトイレ事情について学び、使用済ダンボールでのベッド作りや、非常備蓄している災害食の試食など。
児童たちは、防災学習としてアルファ化米調理を学び、シェイクアウト訓練、避難訓練、通報訓練、煙テント体験訓練、水消火器訓練、救急訓練など数々の訓練を体験した。
体育館では、地域住民や保護者などが段ボールベッド組み立て訓練や簡易担架搬送訓練を実施。段ボールベッドの組み立てでは、防災福祉コミュニティのメンバーが「段ボールの中に折り曲げた段ボールを対角線に入れることで強度が増すので、ここ忘れないように!」と声をかけ参加者は出来上がったベッドの上に寝転がって感触を確かめていた。防災関連の仕事をしていたという同区から参加した三谷浩一さんは、毛布を使った担架作りで「竹の棒を挟んで行う毛布担架は通路が狭い場所では小回りがききにくいなど欠点もあるが、毛布の両端を丸めて運ぶと、小回りが利く」と話し「運ばれる人の足元を先頭にして進むなど実際に動いてみて」と呼びかけた。三谷さんは「小学生の頃から繰り返し訓練を重ねていくことで、日常生活の中で子どもたちの防災意識も高まる。地域の人も一緒に取り組むことで、より地域のつながりが深くなります」と話した。
同校運動場の地下には、雨水を貯める貯水槽があり、仮設トイレが配備されており、 公共下水道接続型でポータブル形式の便器を組み立てて利用する仮設トイレ「災害時こまらんトイレ」の設置訓練もあった。災害時でも水洗で利用できる。マンホールの上に設置された実物の仮設トイレを見た参加者には震災経験者も多く、深く関心を寄せていた。
初めて参加した、地域の金子芳江さんは「災害時、避難所となる小学校に防災の備えがあることを知りました。とても勉強になりました」と話した。同じく地域に住む野中絹恵さんは「今日はいい訓練が出来たと思います。いざという時手伝えるよう覚えておきたいです」と話した。
須磨区の火災件数は昨年28件で、神戸市内で最も少ない件数だった。今年も11月末現在22件で昨年と同様。これは地域の防災力の高さが地域力となり、抑制になっている。合同訓練終了式のあと、須磨消防署長の東さんは「横尾地域のみなさんが主になって合同訓練が実施出来ました。児童のみなさんは、中高生になっても防災訓練に参加してほしい。この中から消防士を目指してくれるとうれしいです」と締めくくった。
※シェイクアウト訓練/2008年にアメリカ合衆国の南カリフォルニア州で生まれた、地震の一斉防災訓練。事前に専用サイトに登録した参加者が、指定日時に届く電子メールを合図にして「そのときにいる場所」で訓練を行う。「そのときにいる場所」で地震が発生したと想定してとっさに身を守るという、従来の防災訓練とは異なる訓練。