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垂水区

垂水のいいね!電車と散歩編 山陽須磨浦公園駅

2019年12月25日号掲載

〈第9回〉山陽須磨浦公園駅 & 駅周辺散歩

今回訪問したのは山陽電車「須磨浦公園駅」。ここは『源平の戦い(治承・寿永の乱、1180〜1185年)』で知られる、景勝地である。駅の改札を出て、松林の中を西に進む。目的地は『平家物語』に載っている「敦盛塚」。この地で若くして命を落とした平敦盛のために建てられた供養塔だ。鬱蒼とした木々に囲まれた大きな五輪塔が静かに佇む。

その次に向かったのは、駅のすぐ北側にそびえる「旗振山」の頂上だ。駅に隣接したロープウェイとカーレーターを乗り継いで登る方法もあるが、今回は駅周辺散歩のコンセプトに従い、行きは敦盛塚の北側に位置する登山道を歩いて登った。

旗振山の山頂までは252mあり、登山道はほとんどが階段状になっている。少し登ると、気温が低い日だったのにも関わらず、汗がしたたり落ちてきて、心拍数が上がった。そんな疲れをねぎらってくれるかのように、ところどころで道を覆っている木々が途切れる場所があり、その隙間からは大阪湾を一望できる素晴らしい景観が出現する。

約30分ほど歩くとロープウェイの山上駅に到着する。そこから、さらに10分ほど登ると旗振山の頂上に着く。今回歩いた山道は、「六甲全山縦走路」の西側スタート地点になっており、その先の縦走路はゴールの宝塚へと延々と続いている。  少し戻ってカーレーターに隣接する「回転展望閣」の横を抜けて「観光リフト」近くの道を少し進む。

この付近からの眺望は最高で、毎年天気の良い正月には多くの人が足を運ぶ「初日の出を拝むスポット」になっている。(今年の1月1日は、ロープウェイ・カーレーターともに早朝の5時から営業していたが、2020年の初日の出を拝むために乗る予定があれば、事前に営業時間の確認を)。

山頂の道を5分も歩くと、やがて「旗振茶屋」に着く。ここからも明石海峡から神戸市街地、大阪湾までが眼下に一望できる。

ここで折り返して、遊歩道を使って下ることもできるが、帰りはカーレーターとロープウェイを使って駅に戻った。

日本で現存する唯一のカーレーターは、ロープウェイ山上駅と回転展望閣を結んで、昭和41年3月に開通。今も当時のままの姿で、「乗り心地の悪さ」が評判だが、体験してみてその通りであることがわかった。

スタートからロープウェイを降りるまでに1時間余りかかった。山道ですれ違った人の多くはハイキング仕様だったこともあり、今回のコースを辿る場合、服装や靴は登山しやすいものを選んだ方がいいだろう。散歩よりもきつい運動になるが、素晴らしい景観が楽しめるコースである。

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