神戸のいいね!旬のおいしいもの編 ギンナン(銀杏)
2019年11月13日号掲載
もっちり翡翠色(ひすいいろ)
ギンナンが鈴なりの雌株
緑色から黄色に黄葉するイチョウは秋の風物詩だが、うっかりギンナンを踏みつけてしまうと、さぁ大変!
「生きた化石」と言われるイチョウは、なんと2億年も前に誕生した。氷河期で絶滅の危機に瀕したが、現在では一科一属一種のみが残っている。
低温、寡日照、干ばつに強く、更に耐火性に優れているうえ、虫がつきにくいことから、街路樹としての適性があり多く植えられていた。だが、種子ギンナンの強烈な臭いの問題から、最近では実のならない雄株や、他の樹木が植えられるようになってきている。臭いのもとは酪酸とペプタン酸によるもので、その臭気の強さは猿も寄り付かないほどだという。
ギンナンは、たんぱく質、脂質、鉄分、カリウム、カロチン、ビタミンC、B1、2が豊富で、薬用としての効果も高い。主なものでは、夜尿症、気管支炎に効果がある。
炒って殻を割ると翡翠色の胚乳が現れるが、これは「仁」と呼ばれるもので、ほんのりとした苦みともちもちとした食感が特徴。ついつい食べ過ぎてしまいそうだが、成分ギンコトキシンの作用が、呼吸困難、痙攣などの中毒症状を引き起こすので、特に子どもの食べ過ぎには注意が必要。
黄葉が始まった雄株、ギンナンはならない
〈ギンナン拾いをするときは〉
拾ってもよい場所か確認し、落ちているもの拾おう。果肉の成分ギンコール酸が、かぶれや炎症の原因になるので、ゴム手袋やビニール手袋を着用し、素手で触らないにように注意したい。ギンナンを入れる袋は臭い漏れの防止に、密閉式ビニール袋かビニール袋を二重に。
落ち始めの実はさほど臭わない
〈拾ったギンナンの処理の方法〉
①ギンナンの入ったビニール袋に水を半分程入れ、袋の外から揉みギンナンの果肉を取る。または、コーヒーの空き瓶などに水とギンナンを入れて振る。これを数回繰り返す。
②果肉がほぼとれたら、ザルにあけ、ギンナン同士を擦り洗いして、残った果肉を取る。
※手が荒れるのでゴム手袋またはビニール手袋を着用する。
③1週間程度天日干しして乾燥させる。殻つきのまま保存する時は新聞紙に包んで常温で1週間程度。
果肉を取って表面が白くなるまで乾燥させる
〈ギンナンの食べ方〉
ギンナンに軽く亀裂を入れる(破裂を防ぐため)。厚めの封筒に入れて(15粒程度)封を3回折り、電子レンジで500w40秒から1分程度加熱する。
〈参考文献〉
「ギンナン 栽培から加工・売り方まで 佐藤康成著 社団法人農山漁村文化協会」
「食べるクスリ 陳惠運著 株式会社飛鳥新社」