「子育ての哲学カフェ しつけとは?」
10月18日(金)、菅の台地域福祉センター(須磨区菅の台)で「子育ての哲学カフェ しつけとは?」が開催され、親子21人が参加した。
進行は「哲学カフェ」の企画運営などを行っている「カフェフィロ」の藤本啓子さん。県立須磨友が丘高校で臨床哲学の授業を非常勤で教えている。
「哲学」と聞くと、難しく取っつきにくい印象を持つ人も多いが「哲学カフェ」はあらゆるテーマを気軽に語り合うことで〝自分で考える〟ことのきっかけになることを目的としている。
大切なのはそれぞれがただ悩みを吐露するだけで終わらず「その話の問題は何だろうか?」と問いを立ててみんなで対話し考えることが、哲学でありお喋りとは違うところ。「簡単に言うと、自分で考えたことを相手に言葉で伝え、対話する相手との違いも尊重する」というシンプルなことだと藤本さんは話した。
哲学カフェにはルールがある。①対話する人はみな平等。②発言する時は手を挙げてから。③人が話している間は口を挟まず最後まで聞く。④人の意見を否定したり、自分の心情を押し付けないこと。
今回は子育てにおける「しつけ」がテーマ。参加者が考えるしつけとしては、昨今事件にもなっているしつけと虐待との線引きや、何歳からしつけが出来るのか、などをあげ「言葉の意味がわからない2歳の子どもでも、大人が困っていることや、うれしいなど表情でわかっている」「日頃からの関わり方が大事で、子どもも愛されているなど感じ取っていると思う」などの考えが出た。
高校生の子をもつ三上さん(北区)は「普段から自分を見つめ直すために哲学カフェに行っています。今日は子どもが小さい頃の悩みを思い出しました。自分が周りからどう見られるかなど、しつけは親の思いが大きいですね」と話した。藤本さんはさまざまに出る参加者の考えを、視点を変えたり「叱ると怒るの違いは?」など新たな問いを立てながら進行していく。それに応えていくうちにそれぞれが自然に自分との対話をしていくようになる。
同児童館を娘の実咲(みさき)ちゃん(1歳)とよく利用している井上さん(須磨区)は「大学時代から人の意見を聞いて、温めてから自分の考えを話すのが好きでした。今はなかなか落ち着いて人と対話する機会が無いので、刺激になりました。近くで開催されるならまた参加したいです」と微笑んだ。哲学カフェには正解はないが答えはそれぞれの心の中にある。「世の中は正解を求めるけれど不確実なことに対する免疫もつけないといけない。おうちに帰ってもう一度今日のことを考えてみて下さい」と藤本さんが締めくくった。
※カフェフィロ/哲学カフェなどの哲学対話イベント・セミナーの企画・運営などを行う任意団体。さまざまな組織と連携しながら「社会のなかで生きる哲学」を探求し、それらの実現にあたるとともに、哲学とともに生きる人たちを応援し、サポートしている。 http://cafephilo.jp/