第3回教育相談講演会 スマホ時代の子どもたちのために
第3回教育相談講演会「スマホ時代の子どもたちのために」が10月8日(火)、神戸市総合教育センター(中央区東川崎町)にて開催され約230人が参加した。
山下准史センター所長の開会のあいさつの後、講師の竹内和雄さん(兵庫県立大学環境人間学部准教授)が「今日は近くに座っている人2・3人で相談して欲しい」と話すと、隣合わせた親同士が互いの悩みを話し質問に答えたりと参加型の講演会が始まった。 大学准教授である竹内さんは、総務省の青少年スマホ連絡会座長を務め、新聞でも数々の連載を持ちテレビ出演も多数。学生への啓発授業を300回以上行うなど、20年間の中学校教師の経験から子どもの立場も考えながら「このスマホ時代を親子がどのように乗り切っていくべきか」を分かりやすく解説する。
今や小学生を対象にしたアンケートでは、「将来の夢」の上位にランキングするユーチューバー。2016年にYouTubeで爆発的人気を博した「ピコ太郎」の例がスクリーンで示されその理由が説明された。「子どもがユーチューバーになりたいといったらどうしますか」との竹内さんの質問に参加者同士が相談し合った。
スマホで子どもたちがよく利用している機能を4つ挙げ実際にどのようなものかを紹介すると会場から驚きの声が上がった。①SNOW(スノー/顔認証システムを利用し自撮り画像を加工・合成するアプリ)②ツイキャス(TwitCasting/PCやスマホなどから手軽にライブ配信を行えるサービス)③「荒野行動」や「フォートナイト」などのバトルロイヤルゲーム④ステメ(ステータスメッセージ/LINEのプロフィールに文章を設定できる機能)など。アプリの紹介ではほかに出会い系や互いの位置情報が確認できるアプリZenly(ゼンリー)などを例に挙げ、今の若者たちのニーズやその危険性について示した。東灘区から参加した小学6年男児の母親は「ネットゲームに夢中になった子どもから課金したいといわれる。金額などでケンカになるがどうしたらいいか」と悩みを話した。
また竹内さんも参加した経験から毎年8月に開催される、「人とつながるオフラインキャンプ」を紹介した。これは兵庫県と兵庫県青少年本部が行うネット依存防止対策の一環で、日常生活のネット利用を見直したいという青少年が対象。瀬戸内海に浮かぶ無人島に行きネットから離れ、仲間でカヌーや野外炊事、海水浴などの自然体験をする。島全体が施設である環境を生かし、日常生活のふりかえりなどを行う。「島生活での最後はリアル体験の圧勝で終わる」と竹内さん。
ネットに依存している子どもも自分でネットをしすぎていることはよくわかっているというが、依存防止には、スマホの購入時に①親子で話し合う(子どもの言い分、親の言い分の妥協点をみつける)②夫婦間など大人の意見の統一③定期的に見直す④ペナルティを決めておくなどがポイント。そしてフィルタリング機能(インターネットのサイトや時間帯を制限するサービス)を有効使用し親と相談しながらアプリを入れることやiPhoneシステムの「スクリーンタイム」(アプリやウェブサイトの利用時間・頻度を知る機能)などを活用しスマホの使用時間を決めることも有効だという。 兵庫県警ではサイバー犯罪対策にも力をいれている。竹内さんは「犯罪被害については#9110まで、お金のことで困ったら消費生活センター188番にすぐ相談して欲しい」とひと言。またスマホの問題は「心」の問題だとし「親はスマホのことで心配しているよ、何かあったらいつでも相談にのるよという姿勢で子どもたちに向き合って欲しい」と締めくくった。
※バトルロイヤルゲーム/PCやスマホで、ネット上の複数のプレイヤーと同時に、最後の1人になるまで戦うサバイバルゲーム。
〈竹内和雄さん〉 兵庫県立大学環境人間学部 准教授。生徒指導を専門とし、ネット問題・いじめ・不登校など、課題を持つ子どもへの対応方法について研究している。文科省学校ネットパトロール調査研究協力者、総務省青少年インターネットWG構成員、総務省(近畿総合通信局)「スマートフォン時代に対応した青少年のインターネット利用に関する連絡会」座長。