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第18回 ケア子屋

2019年10月9日号垂水版掲載

医療と介護の地域連携

「ALS患者でのディグニティセラピー」

〜住み慣れた地域で、誰もが安心して暮らせように〜

「敬老の日」を迎えて、日本人の約3割を65歳以上の高齢者人口が占めているとの発表があった。高齢者が自分らしく生きるためには、まだまだ解決すべき課題は多い。近年、増加している「在宅で介護をする」という課題もその中のひとつだ。  垂水区・西区・明石市において、在宅介護を見守る医師をはじめ、ケアマネジャーや作業療法士、理学療法士、薬剤師など、さまざまな分野の福祉関係者を対象とした勉強会「ケア子屋」。本紙でも第14回から紹介していて、今回で18回目(9月13日開催)となった。

本題に入る前に、尼崎市で理学療法士をしている野瀬裕介さんが主催している、「やさしさ集まる料理店」についての話があった。そこでは認知症の介護者を給仕係りとして雇っており、その効果などの説明があった。  その後本題に入る。今回のテーマは、「ALS患者でのディグニティセラピー」。「ALS」とは、筋萎縮性側索硬化症のこと。脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気で、難病の一つに指定。統計によると、日本に約一万人の患者がいると考えられている。また、「ディグニティ」とは『尊厳・品位・威厳』を意味する。そして「ディグニティセラピー」は、終末期患者の心理社会的および実存的な苦悩に対処することを目的とした、精神療法的アプローチを指す。

今回の講師は、清水メディカルクリニックに勤務する看護師の白藤沙織さんと藤本翠さん。実際にクリニックで手掛けている「ディグニティセラピー」についての紹介と解説を行った。

ALS患者はもちろん、その他の終末期患者が、最期まで人としての『尊厳』を失わないための方法について、まず9つの質問を中心としたやりとりを行う。その後、患者本人がこれまでの人生を振り返り手紙を作成する。その一連の行動により、本人の『尊厳』を取り戻し高めることができることを紹介した。

その後、参加者は3人1組になり、それぞれが患者役・セラピー役・観察者役となってロールプレイングを行い、ディグニティセラピーの効果を互いに模擬体験した。

勉強会「ケア子屋」は、今後も引き続き定期的に行われる予定だ。同勉強会のような取り組みが地道に行われることは、今後も高齢化社会が進展する日本にとって非常に心強いことである。介護する側もされる側も安心して『在宅介護』が行われる、そんな未来を目指したい。

〈問合せ〉
ケア子屋事務局

向原クリニック
西区大津和1-7-8
TEL:975-8760

株式会社ゆうの縁
垂水区本多聞3-6-12
TEL:784-4126

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