〈第13回〉日本慢性看護学会学術集会主催「市民公開講座 エンドオブライフケア講座~終活を考える~」
7月7日(日)神戸市看護大学大学ホールにて〈第13回〉日本慢性看護学会学術集会主催「市民公開講座 エンドオブライフケア講座~終活を考える~」が開催され近隣住民ら約200人が参加した。
講師/長江弘子さん(東京女子医科大学看護学部看護学看護学研究科教授・日本エンドオブライフケア学会副理事長)
座長/藤田愛さん(北須磨訪問看護リハビリセンター所長慢性疾患看護専門看護師)
今回のテーマは「人生の最終段階をいかに生きるか?」。エンド(終わり)オブ・ライフ(いのち)ケアとは、健康状態、年齢に関わらず、差し迫った死、あるいはいつかは来る死について考える人が、生が終わる時まで最善の生き方ができるように支援するケアのこと。疾患をかかえながら生活・治療をしていくうえで地域や社会、家族とともに自分の人生をどう生きるか。今、人が最期まで尊厳を持って生きるために、病院中心の医療ではなく、一人ひとりの人生を考える医療が必要になっている。
そのためにも前もって大切な人に自分の考えを伝えておくことが大切。もしもの時にどのような医療やケアを望んでいるかなど、自分の望みを話し合うことを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」(これからの医療やケアに関する話し合い)という。病気が重くなる前、健康な時から周囲と話し合っておくことが、治療方針など後に自分で意思決定ができなくなった時の家族の決断の助けとなり、周りの負担も軽くなる。
「私が子どもの頃は自宅で家族を看取ることもあり、今より人の死が身近だったように思います」と話すのは、実際にアドバンス・ケア・プランニングを書き出してみたという大屋庄平さん(学園西町・81歳)。「まだまだ元気だと思っていますが、自分のためだけでなく家族のためにも自分がどういうケアを望んでいるか伝えておかなければ」と笑って答えた。70代女性(西区)は「自分も年を重ねていき、他人事ではないなと思いながら聞いていました。人任せではなく自分もしっかり考えないと。勉強になりました」と話した。
今回座長を務めた看護師の藤田さんは「住み慣れた地域で自分らしく生きることを大切に、支えてくれる周囲の人たちとともにエンドオブライフについて考え、話す文化を創り出すことが重要になってくる」とまとめた。