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垂水区

垂水のいいね!人物編 パン屋小麦生活 加古隆一さん

2019年6月26日号掲載

西区神出の麦畑から「食卓にもっとおいしいパンを!!」

昨年11月に舞子台にオープンしたパン屋「小麦生活」。木の作りのナチュラルなドアを開けると、焼きたてパンの香ばしい香りに食欲をそそられる。「小麦生活」では、材料となる小麦栽培から製粉、製パンまで一貫して行い、神戸の地産地消のパンを提供している。「食卓にもっとおいしいパンを!!」とパン作りに取り組む、代表の加古 隆一さんにお話を伺った。

加古さんの実家は、西区神出で米と野菜を作る農家。大切に栽培した自家製の米や野菜を食べて育ち、食材のおいしさを幼い頃から知っている。サラリーマンとして技術職についたものの、本当にやりたいことは?と考え「食」に関わる仕事をしたいとパン職人を目指した。そして、パンを作るなら材料の小麦からと、小麦栽培に挑戦。しかし、西神地域は小麦栽培に適した土壌ではなく、他に小麦を作っている農家がない中、試行錯誤を繰り返しながら小麦を育てて10年余。

自分たちで育てた小麦から粉を挽きパンを焼く、という「小麦生活」のパン作り。そこには、食材から見つめ直し小麦を理解し、小麦粉の良さを生かした本当においしいパンを作りたいという、加古さんの熱い思いがある。「僕は、シェフというより生産農家でありパン職人なので、創作的な凝ったパンは作らないけれど、小麦本来のおいしさが引き立つパンを食卓に届けたい」と語る。西区の農協市場館「六甲のめぐみ」や楽農市場「きらめき神出」など委託販売先も広がり、さらに「お客さんの顔が見える商売を」と舞子台の店をオープンした。店内には、フランスパンや全粒粉食パン、バゲットの他、クロワッサン、クリームパン、地元の野菜を使った調理パンなど、さまざまな種類のパンが並ぶ。全粒粉に挽いた自家製小麦粉に、パンの種類に応じた配合で国の小麦粉を混ぜ合わせてき上げている。自家製粉ならではの小麦の風味が口の中に広がり、焼きたてはもちろん、トーストするとまたおいしい。

パンの販売だけでなく、兵庫楽農生活センターでは、パン作り教室や、麦刈り体験、野菜収穫などのイベントも開催。「食」や「農」について、身近に学び体験することができる。「このパンおいしいねというだけでなく、材料の小麦や小麦粉のことなど食べ物がどんなふうに作られているか知って、関心を持っていただければ」と願う。神戸の豊かな農産物を体験してみるのもおすすめだ。

 麦刈りイベントの写真

 

〈パン屋 小麦生活〉

所在地:垂水区舞子台3-13-2

TEL: 783-3355

営業時間:10:00~19:00

定休日:日曜日

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