あすチャレ!スクール
5月15日(水)市立西落合中学校(須磨区西落合)で1年生を対象に、パラアスリートによる体験型出前授業「あすチャレ!スクール」が開かれた。 (主催/日本財団パラリンピックサポートセンター)
東京パラリンピック大会を来年に控えパラスポーツ(障がい者スポーツ)の知識や認知を高めるとともにパラアスリートとの触れ合いを通じ、気づきと学びの機会を提供しようと全国の小中高校を対象に開催。2016年に始まり、2020年までに1000校での実施を目指している。
この日の講師は、パラ陸上の車いす短距離元日本代表で2004年のアテネ大会4×400メートルで、銅メダルを獲得した永尾嘉章さん(56歳)。神戸市出身の永尾さんは「地元に帰ったつもりで話します!」とテンポのよい関西弁でパラリンピックの歴史や競技の種類、ルールについて説明。「障がいがあっても工夫することでいろんな競技ができるし楽しむことができる」と力強く語った。
次に「レーサー」と呼ばれる競技用車いすを紹介。速く走るための構造のしくみを生徒の目の前で走らせながら説明。「重さは約8㎏で自転車よりも軽い」と片手で軽々と持ち上げる永尾さん。ルームランナーの上で走ったスピードはなんと時速52キロに達し、生徒たちはその速さと迫力に圧倒されていた。レーサー体験では代表生徒6人が挑戦。前傾姿勢になり両手で車輪をこいでいく。「思ったより体力を使う」「手が疲れた」と口々に感想を話した。バスケットボール用車いすを使って5人1組3チーム対抗リレーでは車輪が「ハの字」になっているため、カーブが難しく操作に四苦八苦の様子。クラス対抗とあって大声援の中、デッドヒートが繰り広げられた。
5歳から車いすの生活を送ってきた永尾さん。「小中学校の時はすべてを諦めていた」と話すが高校時代の恩師に陸上をすすめられ、生活が一変したという。風を切って走る楽しさや応援される喜びを実感し、どんどんのめりこんだ。けがに見舞われた時も決して諦めず、日本人最多となる、7大会のパラリンピック出場を果たした。「歩けないことを障がいと言うが車いすでスロープやエレベーターを使うとどこへでも行ける。不便をなくすと障がいは取り除けると思っています」と話した。最後に「好きなことやチャレンジしたいことが見つかったら目標を持って諦めずに頑張ってほしい」と呼びかけた。大久保武蔵くんは「助けを必要としている人の力になりたいと思った」。大川原耀人くんは、「目標を持って諦めずに努力する大切さがわかった」と感想を話した。