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垂水区

垂水のいいね!電車と散歩編 山陽滝の茶屋駅

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2019年5月22日号掲載

〈第2回〉山陽滝の茶屋駅 & 駅周辺散歩

山陽電車全駅の中でも 屈指の景観を誇る「滝の茶屋駅」。 その周辺には、かつての 異人館街の雰囲気が 現在も残っている

今回は、「滝の茶屋駅」を訪ねた。全国にはたくさんの駅が存在するが『滝の茶屋』という美しい駅名のついた駅は、そう多くはないだろう。駅の西に位置する場所にその昔滝がかかっており、江戸時代にはこの滝が直接海に落ちていた。この滝は当時数少ない、船用の真水の水場であり、その上の古山陽道に茶屋があったとされることが、 地名の由来となっている。

ちなみにこの滝は、新元号『令和』で注目を集めている「万葉集」にも登場している。志貴皇子(しきのみこ)に詠まれている「岩ばしる 垂水の上の さわらびの もえいづる春に なりにけるかも」の「垂水(=滝)」の地名の元になったといわれている(参照ウィキペディア)。

電車からホームに降りる。南側には多くの船が行き来する海が広がり、海の東側には大阪から堺方面の町並み、西側には巨大な明石海峡と淡路島が見える。ここから見る景色は、山陽電車の全駅の中でもトップクラスの美しさではないだろうか。女優ののんさんが出演している神戸新聞のCMが現在サンテレビで放映されているが、景色の美しい同駅が撮影に使われているのも納得できる。

駅の南側にはJRの線路と国道2号線があり、海沿いには「平磯緑地公園」が設けられている。駅の出口は北側にあり、近くにベーカリーショップなど店舗が数軒ならんでいる。その東側には「滝の茶屋駅前商店街」があり、道を北に進むと、和菓子屋やスーパーなどの店が点在している。

これより北側から塩屋にかけては、かつて本紙でも紹介した「旧ジェームス邸」など、明治時代の頃から移住してきた外国人の洋館が残る、通称「ジェームス山」と呼ばれる高級住宅地があり、広い敷地を有する瀟洒な家屋やマンションが数多く存在する。「ジェームス山」と呼ばれているとおり、少し進むと上り坂になる。その坂道を登って山頂付近に近づいて振り返ると、背後には淡路島と、そこに架かる「明石海峡大橋」を臨む素晴らしい景観が広がっている。

山頂には、淡路島出身の旧三洋電機創業者である井植歳男氏の「井植記念館」があり、井植氏の足跡について展示されている。ここの芝生広場から臨む景色は、素晴らしいと評判だ。あいにく、取材したのがGW期間中で、平日しか入館できないため閉まっていたのが残念だった。

ここで散歩を終えて、帰路は東側にある道を下った。遠く「旗振山」の美しい光景が気持ちいい。

そこから駅に向かう道は、登ってきた道と違い、手つかずのままの鬱蒼とした森林が残っている。途中には「カントリークラブ」などもあり、かつてのジェームス山の雰囲気が感じられる。途中から道を少し逸れて「旧ジェームス邸」の横を抜けて駅へ。同邸から駅までは5分ほどで着く。

駅から1時間ほどで歩ける散歩のコースだが、アップダウンも大きくよい運動になった。北野の異人館とはまた違った、神戸の魅力が感じられるおすすめのコースである。

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